メンタル不調時に「食べてはいけない」3つの食材 食事は「フルマラソン」に匹敵する消費カロリー

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半断食では、断食の18時間を設けるために朝食を抜くのが最も簡単で、オーソドックスな方法です。たとえば、翌日の正午に食事をするとしたら、そこから逆算して食事を抜き、その日の午後6時以降は食事を摂らないようにします。食事を抜くといっても、まったく何も摂らないわけではありません。水はたっぷり飲んでください。水の替わりにお湯を飲んでもかまいません。

水をしっかり摂ることは、細胞の代謝力を落とすことなく、排泄効率を高める一つのテクニックになります。「お湯がいいなら、お茶は? ジュースは?」と抜け道を探したくなるものですが、半断食中、栄養のあるものはたとえドリンクであっても避けるようにします。理由は簡単です。断食中に栄養を補給してしまえば、その分、胃腸は働かざるを得なくなるからです。その結果、せっかく断食しているにもかかわらず、消化から排泄に至る連続的な流れが乱れてしまいます。

ちなみに、断食中にお湯を飲むと、まるで胃腸が温泉にでもつかっているような休息感を得ることができます。半断食に慣れてくると、この感覚が少し「病みつき」になるほどです。

うつになると心の中が忙しくなる

メンタルの調子が悪いときは、心身がリラックスできていません。何もできずにぼーっとしているときでも、実は顕在意識、潜在意識で自分を責め続けています。

顕在意識とは、通常私たちが「意識できる意識」のことで、思考や感情などがこれに当たります。私たちは何気なく一日を過ごしていても、実に6万回も思考をしていると言われるほど、顕在意識は脳と心を駆け巡っています。大変な忙しさです。

さらにうつになると、もっと心の中が忙しくなります。自分を「ダメだ、ダメだ」と苛んだり、将来への不安が頭から離れなかったり、ネガティブな感情と思考が終始続きます。このため、メンタルが不調なときはなかなか眠れないし、短時間で目が覚めてしまいます。無意識な思考が止まらないからです。僕自身がそうでした。

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そうなると負の連鎖で、心も体もどんどん疲弊して、さらにヤル気、自信といったものがすり減ってきます。仕事の疲れも取れません。断食は、こうした負の連鎖を断ち切る機会になります。その一番の理由は、胃腸を休めることによる心身への効用です。

消化のプロセスは、運動や仕事で体を動かすよりも多くのエネルギーを消費しています。私たち現代人は、この感覚が麻痺しがちです。本当は疲れているのに、食べてしまう。胃袋は「休ませて」と言っているのに、食べてしまう。これは、日常的なストレスのせいで身体感覚がやや麻痺した状態だと言えるでしょう。

半断食は、この流れを絶ちます。18時間食を控えることにより、消化のプロセスを助け、その分、たくさんの体内酵素が体の修復に向かいます。また、断食中、水をたっぷり飲むようにすれば、細胞の毒である老廃物が尿や汗として排出されるようになるでしょう。

宮島 賢也 精神科医・産業医

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みやじま けんや / Kenya Miyajima

1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

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