酒離れをよそに大奮闘、ウイスキー激売れのワケ
接待用の“二軒目の酒”だったウイスキーが目覚ましい復活を遂げている。昨年の販売数量は酒税の減税があった年を除き、21年ぶりに回復。酒類需要が全般的に沈む中、年明け以降も約2割増ペースが続いている。
きっかけは昨年来のハイボールブームだ。サントリー酒類の水谷徹ウイスキー部長は「今年に入っても想像以上に広がっている」と驚きを隠さない。実際、同社のウイスキー販売量は1~4月累計で前年比31%拡大。安価な「角瓶」に至っては同77%も膨らんだ。一方、アサヒビール傘下のニッカウヰスキーの販売数量(国産のみ)も、同期間には同16%増えた。
炭酸で割ったハイボールは新しい飲み方ではない。が、サントリーなどが外食店での取り扱いや広告等を通じた認知向上に力を入れたところ、なじみの薄かった20~30代が食いついた。「苦いビールや甘い酎ハイなどと違い、スッキリした味わいが食事に合うと受け入れられたのだろう」と水谷氏は分析する。
不況も追い風となった。低価格の商品なら、炭酸割りだと一杯単価はビール以下。「家飲み」のお供として需要が増加したほか、外でも「高い店ではなく、居酒屋などでワイワイ飲むお酒としてなじんできた」(アサヒビール洋酒焼酎部の上川裕二部長)という。
ブームを機に高級品も売れ始めている。サントリーでは「山崎」や「響」などの販売数量が年明け以降、前年比2割を超す水準で推移。ニッカの「竹鶴」も同15%増えた。高級品を使ったハイボールを出す店がジワジワと増えていることに加え、往年のファンがウイスキーに戻りつつあることなどが要因だ。