元ひきこもりが「友人関係」で悩まなくなった理由 “幸せ"な人生のレールに縛られなくていい

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たとえば、私のような黒い白衣を着ている人はあまり多くありません。

15年前、この格好を拒絶する人はたくさんいました。受け入れてくれる人を探すというのは、とても難しいことでした。高専時代のクラスメイトに友だちはできなかったし、親は悲しみました。

黒い白衣を着た吉藤さん(写真:オリィ研究所)

そのときは、それが現実だと思いました。おかしいのは自分なのかもしれないと。もしあなたがが1万人に1人しか理解できない「好きなこと」を持っていたとしたら、小さなコミュニティの中でそれを周囲に理解してもらうのは難しいでしょう。

でも、ネットの世界は広いです。「それすごくいいね!」「僕もたったいま白衣を黒く染めたよ!」「僕は赤い白衣を作ったよ!」「緑の火炎放射器を撃つなら白より黒い白衣だよ!」と言ってくれる味わい深い変人たちと出会うことができました。ワクワクしました。

自分と気の合う人は必ずいる

場所や環境とは関係なく、自分とつながった感性の近い人。周囲とはわかり合えない価値観を共有できる彼らとはとても仲良しになれる可能性があります。実際に私もそうでした。いまでも関係は続いているし、中には多くの人が知るような活躍をしているような人もいます。

いまはもう、協調性や我慢によって友だちをつくらなくてはいけない時代じゃなくなりました。自分はこういう人間だと、自分の表現を外に向かって広く発信するか、あるいは勇気を出して新しいコミュニティに一歩飛び込んで発信してみましょう。

すると自分のことを面白しろいと思った人が声をかけてくれたり、あるいはこちらから話しかけたりする場合にも、自分がどんな人間なのか理解してもらったりしやすく、興味をもってもらえたら返信をもらえる機会が増えます。

そして自分の特性に合った、「なにをしたいか」がまだわからない人も、いろんな人と交流をすれば自然にはっきりしてきます。「あの時、あの場所にいてくれたおかげで、いまの自分はある」と多くの大人たちは言います。

15歳までひきこもりで、人と話すことが苦手だった私も、たくさんの気の合う、憧れる人たちと会うことができたことでいまの私があります。運が良かったんだろうと言われればそのとおりです。しかしよく考えてみれば、これだけ多くの人と会ってきたのに、合わない人の方が圧倒的に多かったので、むしろ運は悪い方だったのかもしれません。

これからどんな人と出会うかで、あなたの人生は大きく変わるでしょう。良い人と出会うためには、出会い方だけではなく、出会う数も大切です。トライ&エラー、たくさん試すことです。

自分をいじめたり、反対したり、無視したり、傷つけてくるのも人ですが、ほめてくれたり、才能だと言ってくれたり、価値を見出してくれて、自分が成長する機会を与えてくれるのも、また人なのです。

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