外出自粛する人ほど「認知症リスク」が高い理由 「一人暮らし」「運動不足」の人ほど発症しやすい
新型コロナウイルス感染症に伴い、メンタル疾患の患者が激増しています。9月10日に厚生労働省は、「コロナうつ」に関する1万人規模のネット調査を行うと発表しましたが、それも「コロナうつ」が激増しているという背景があってのこと。
「eヘルスケア」による全国医師561人に対して行った「新型コロナウイルス禍での生活環境変化の影響で増えた疾患」についてのインターネット調査によると、約4割の医師が最も増えた疾患として「精神疾患」を挙げました。具体的なメンタル症状としては、「悪夢を見る」「鬱状態」「つねにコロナにおびえている精神状態」などが多く挙げられました。
コロナに関連して「コロナうつ」や「自殺」の危険性については、私も過去の記事で詳しく書いていますし、最近、さまざまなメディアでその危険性が報道されるようになっています。しかし、コロナに関連して、もう1つ注意しなければいけないメンタル疾患があります。それは、「認知症」です。
なぜコロナで「認知症患者」が増えるのか?
最近、「新規の認知症患者が増えている」という話を知り合いのドクターからよく聞きます。また現在、「通院、通所中の認知症患者の症状が悪化している」というデータもあります。
広島大学による入所系医療・介護施設945施設および介護支援専門員751人に対する調査では、「約38%の患者に認知機能の低下や日常生活動作の低下が認められた」という結果となっています。つまり、認知症患者の約3人に1人に症状悪化が起きている、という深刻な結果です。
拙著『ブレインメンタル強化大全』でも紹介しているように認知症を予防するには、いくつかの方法がありますが、科学的なデータが多い最も効果的な方法は「運動」です。1日20分程度の散歩で認知症のリスクを半分程度にまで減らせる、という研究が世界的にも多数あります。逆に言うと、「運動不足」が認知症発症の重大なリスクとなります。
高齢者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、若い人と比べて重症化のリスク、死亡率が高く、「コロナが怖い」ということで、家からほとんど出ない高齢者がたくさんいらっしゃるようです。
1日20分の散歩というのは、それほど高いハードルではありません。近所のスーパーやコンビニまで買い物に行けば、だいたい20分以上歩くことになります。しかし、家から1歩も出ない場合、家の中で意識的に運動しない限り、運動量はほとんどないことになってしまいます。それが、4月の緊急事態宣言の頃から続いていると考えると、「運動不足」が、そろそろ半年にもなりますから、脳への影響が出てきてもまったくおかしくはないのです。
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