外出自粛する人ほど「認知症リスク」が高い理由 「一人暮らし」「運動不足」の人ほど発症しやすい

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「運動不足」とならんで、認知症の重大なリスクとして知られるのが「孤独」です。孤独な高齢者は、そうでない人と比べて、認知症の発症率が約2倍も高いのです。

今までは大型連休になると、おじいちゃん、おばあちゃんのいる実家に孫を連れて遊びに行くというのが、日常でした。しかし現在、コロナに過敏になっている高齢者は、若者と接触しようとしない。家族であっても、「家にも遊びに来るな」という人もいます。今年の夏休みは、全国的に実家への帰省も自粛ムードとなり、親元に帰省できなかった人も多かったはずです。

さらには、「コロナが怖い」と人の集まる場所を避ける高齢者は、趣味サークル、老人クラブ、デイケア、さらには病院にまでも行かなくなっています。つまり、コロナ前と比べて、人との接触が圧倒的に少なくなってしまった。コミュニケーション不足になっており、実質的に「孤独」な状態になっているのです。

リアルに人と会って会話するということは、脳を活性化します。逆に、人と会わないで家に閉じこもっていると、脳への刺激が著しく減ってしまい、認知症のリスクを高めるのです。

認知症になる確率は「コロナ感染の70倍以上」

コロナウイルスに感染しないように注意を払うことはとても大切ですが、「外出しない」「人と会わない」をやりすぎると、「運動不足」と「孤独」のダブルパンチによって、認知症の発症率を大きく高めてしまう。あるいは、現在、認知症の患者さんは症状を悪化させることにもつながるのです。

それを防ぐために、私は「朝散歩」をお勧めしています。朝起きてから1時間以内に、15~30分の散歩をする。朝の時間帯に、公園や河川敷などを散歩して3密になることはありえないので、コロナ感染の危険性はほとんどないでしょう。

日本人の認知症患者は、約600万人いると言われます。65歳以上だと、7人に1人の割合です。コロナ感染者数は約8.5万人(本稿執筆時)ですから、ザックリ言えばコロナ感染する確率よりも、認知症になる確率のほうが70倍以上も高いのです。

コロナ感染を警戒しすぎるあまり、「外出自粛」と「人と会わない」を徹底しすぎて、認知症になってしまっては本末転倒です。昨今の状況を考えると、1日20分程度の朝散歩、家族など限定した人たちとの面会であれば、コロナ感染のリスクは心配するほどではないはずです。

また自分の親が認知症になってしまうと、介護などでものすごい負担がかかります。この記事の内容を、ぜひ、ご両親ともシェアしていただき、認知症予防に役立てていただきたいです。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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