世界のアニメ人材集結、Netflix「エデン」の舞台裏 ジャスティン・リーチプロデューサーに聞く

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――この作品は、ジャスティンさん自身の体験が色濃く反映された作品だそうですね。

その通り。非常に個人的な思いがあって作った作品です。最初のバージョンの構想を練ったのが1998年ともうだいぶ前のことになります。ちょうど大学を卒業した直後でしたが、その頃は環境問題が話題にのぼっていた時期で、人間が文明にどういう影響を与えるのかということが論じられていました。そういうところから着想して、人類が滅亡したらどうなるだろうというのが、最初の着想だった。それをずっと温めてきたわけです。

ジャスティン・リーチ/Justin Leach アメリカ生まれ。1997 年にブルースカイ・スタジオに入社し、アニメーターとしてのキャリアをスタート。2001 年に攻殻機動隊を手掛けたProduction I.G の『イノセンス』にCG クリエーターとして参加するために来日。2005 年には、ルーカスフィルムの3D アニメーションシリーズ『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』の立ち上げメンバーとして参加。その後、2007 年にブルースカイ・スタジオへ戻り、『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』『アイス・エイジ4/パイレーツ大冒険』などのアニメーション映画に携わる。2012 年にはProduction I.G 制作の『キックハート』に携わる。2018 年には東京にアニメーション制作スタジオQubic Pictures を設立し、「日本のアニメーションと西洋のアニメーションの融合」を実現させるべく、『エデン』を制作 (写真:Netflix)

――そこから20年近く企画を温めてきたそうですね。

Production I.Gで働いていた頃に、櫻井さんとこの企画について話したことがありました。そういった経緯があって、ようやく実現にこぎつけたわけですが、その間に自分でも業界の中で経験を積み重ねてきました。かつ自分にも子供ができて、親となったということも大きかったかなと思っています。

最初のうちは、親であるというのはどういうことなのかが自分自身でもわかっていない状態で企画を書いていた。でも今は、親になるというのはどういうことなのかがわかったうえで語ることができる。ある意味、自分が親になるまで、作品が待ってくれたような感覚ですね。

――この作品のために世界中のトップクリエーターが集まったわけですが、それはある種「アベンジャーズ」のようにも感じたのですが。

自分はアメリカで活動しているので、いつでも世界屈指の人たちを集めるんだという気持ちがあるんですが、今回の『エデン』の場合は、やはり魂は日本のものであってほしいというのが大前提としてありました。いろんな国からクリエーターを集めて、そのクリエーターの視点を取り込みながら作っていきたいんだと。

最初は彼らをまとめるのはもっと難しいのかなと思っていたんですが、案外やりやすかったですね。彼らはみんな日本のアニメーションが大好きですから。本当に良いチームだったんだなと思います。

みな日本のアニメが大好き

――とはいえ、日本人、アメリカ人、フランス人、オーストラリア人、中国人、台湾人など多国籍なスタッフ編成となっているので、意思疎通、コミュニケーションをしっかりととらないといけなかったのではないかと思うのですが。

おっしゃる通り、最初はけっこうナーバスになっていましたね。なんせ3カ国語を使って制作しないといけないし、いろんな国からクリエーターが参加しているので。これは難しいかもしれないなと思ったのは事実です。

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