東芝筆頭株主選任の弁護士による調査報告書受領 不当な影響力で株主議決権行使妨げようと画策

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東芝は10日、2020年の定時株主総会の運営を巡り、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが選任した弁護士による調査報告書を受領したと発表した。調査を担当した弁護士らは、定時株主総会が公正に運営されたものとは言えないと結論付けた。

発表された調査報告書によると、東芝は定時株主総会でのアクティビスト対応について、経済産業省に支援を要請。改正外為法に基づく権限発動の可能性などを背景とした不当な影響を一部株主に与えていたと指摘した。

経産省参与に議決権不行使の交渉を依頼

一例として、東芝は米ハーバード大学の基金に議決権を行使しないよう当時の経産省参与に交渉を事実上依頼。同参与は基金と接触し、結果として基金は議決権を行使しなかったとしている。

東芝は今回の調査結果の内容を慎重に検討の上、対応などを後日開示する。

エフィッシモは昨年の定時総会で議決権の扱いに不自然な点が多く存在しているなどとして臨時総会の開催を請求。今年3月に開かれた臨時総会ではエフィッシモの提案が賛成多数で可決し、弁護士による調査が進められていた。

議決権の扱いを巡っては、経済産業省の元参与が米ハーバード大学の基金運用ファンドに干渉していたとロイター通信が報道。東芝は外部弁護士を起用した調査を実施したが、議決権行使に関して何らかの働きかけを依頼した事実などは発見されないと結論づけていた。

エフィッシモは昨年の定時総会では組織風土やガバナンスの問題解決のため、創業者の今井陽一郎氏ら3人を取締役として提案したが否決されていた。一方、車谷暢昭前社長の賛成票も57.20%にとどまっていた。車谷氏は4月に辞任した。

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著者:古川有希

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