財源、効果に問題あり、軽減税率に異論続出 来年に予定される消費増税を前にヒアリングが始まった

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全飲食料品に軽減税率を導入すると、1%当たり6600億円の税収が減る

税率10%への再引き上げを前に、消費税の「軽減税率」導入に関する議論が本格化している。与党の自民、公明両党は7月8日から日本経済団体連合会(経団連)などへのヒアリングを始めた。8月末まで意見聴取を続け、今年末には10%の消費税率引き上げと併せて、軽減税率導入の可否を決めることにしている。

導入に反対の声も

「軽減税率は一見耳に優しいが、導入されるとなると、たいへんな負担と混乱を招く」

「新商品の開発のたびに、その都度当局に(軽減税率が適用されるか)お伺いを立てないといけない。軽減税率の導入は拙速だ」

15日に国会内で開かれた3回目となる関係団体へのヒアリング。日本チェーンストア協会や日本フランチャイズチェーン協会など、小売り・流通関係団体を中心に9団体が意見を述べた。7月末と8月末にも、全国知事会などへのヒアリングが予定される。

両党はこれまでの3日間で30団体近くから聴取を続けているが、農業団体が賛成する一方、軽減税率導入に反対する声も目立つ。代表例が経団連だ。7月には日本商工会議所や経済同友会などと共同で声明を発表し、「複数(軽減)税率は逆進性対策として非効率である一方、大幅な税収減を招き、社会保障制度の持続可能性を損なう。複数税率制度は導入せず、単一税率を維持すべき」と主張している。

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