俳句のプロたちが本気で語る「要素配分の黄金比」 総重量「2.0」を一句の中で分け合う?!
一句の中に、「キーワード」は1つ
岸本:一句の中に使う「キーワードはいくつ?」という問があるんですね。
夏井:キーワードって……要素のこと? 私は、メインは1つだと思うんだけど。
岸本:たとえば、刺身の盛り合わせだったら、赤身と白身とイカとか、単品の卵料理だったらオムレツとか、カレーの肉は1種類であとは野菜だとか、料理には統一感や中心の素材があるんですね。俳句も同様に、まず中心は1つと決めたほうがいいでしょうか?
夏井:「豚肉」というキーワードが1つあったとき、「生姜焼き」なら生姜は出てくるけど、豚肉ありきの生姜焼きだし。さっとお湯をくぐらせて大根おろしとポン酢でいただくのだって、主役は「豚肉」。小さな付け合わせや調味料は、俳句の音数でいえば三音分の味付けなわけですね。実はその三音分が「えっ、ここでキムチ!?」みたいに強烈だと、そこに食いついてくる人もいる。
だから「キーワードはいくつ?」と聞かれたら、やっぱりキーワードはひとつで、そこにスパイスとか調理法とかが、三音分ぐらいの個性になっていくという感じかな。
岸本:一般的に、題詠は1つの言葉です。1つの言葉に補助的な言葉を組み合わせて一句に膨らますわけで、取り合わせといっても「1」があっての「2」だと言ったほうがわかりやすい。あと、季語については、季語を添え物として使う場合と、季語=キーワードの場合と両方あります。また、キーワードは名詞以外もあるかもしれませんが、基本は名詞ですね。