俳句のプロたちが本気で語る「要素配分の黄金比」 総重量「2.0」を一句の中で分け合う?!
夏井:はい、最初は名詞からやってみましょう。自立語の中でいちばん脳が整理しやすいのが名詞ですから。でも自分が心惹かれる言葉であれば、いつか、形容詞や動詞や、時には助動詞でも「これが使いたい」となるかもしれないし、さらに中七に「なり」を使って句を作りたいとか言い出すようになりますよ。
岸本:「まずは名詞」という入り口を決めたほうが、初級の方にはいいでしょう。
夏井:トレーニングなら、「目の前にあるものの名前を1個、書いてみましょう」からでいいんです。たとえばコップ、牛乳。そしたら、もう上五ができちゃってますよ。
「牛乳は」とか、「紙コップ」とか、そこから練習していきません? はじめに言葉ありきですよ、聖書が言ってます(笑)。
総重量「2.0」を一句の中で分け合う
岸本:キーワードを1つ決めたとして、第2キーワードって作りますか?
夏井:メインを1ポイントとしたら、その半分の0.5ポイントぐらいのものを第2キーワードとしてくっつけていきます。サブ的なものですね。
紙コップなら、どこに置かれているとか、何が入っているとか、誰が置いたとか。朝ですか、夜ですか、とか。周辺を見回して2つ目のキーワードを探します。連句の発想法と一緒ですよね。紙コップで飲んでいるんだろうか、握りつぶしているんだろうか、捨てようとしてるんだろうか、というように連想して2つ目のキーワードを探していきましょう。「探す」と言うと難しいですね。「線でつなげていく」と言うほうがぴったりきます。
岸本:ひとつの花を摘んで、もうひとつ別の花を摘むこともあるし、ビールを買ったら、そのつまみを何にしましょうというふうな感じですよね。それでも、やっぱり2つなんでしょうね。俳句のサイズからすると、3つは多い?
夏井:2つでしょうね。1と0.5ぐらいかな。「1」があって「0.5」が何かを添えてくれるっていう感じ。