北陸のドラッグ風雲児「ゲンキー」の安売り戦略 コスモス薬品を追うローコスト経営の徹底ぶり

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業績拡大を牽引するエンジンが、2019年から強化しているディスカウント戦略だ。ドラッグストアでは近年、シリアルやキムチなどの加工食品や肉・野菜・魚の生鮮三品の取り扱いを強化している。

ゲンキーも同様で、売り上げの6割を食品が占めるまでになった。その一番の売れ筋である食品を中心に値下げを強化している。

「単価を下げたことで顧客の買い上げ点数が上がり、来店頻度も増えている。1坪当たりの売上高は2年前から15万円上昇し、117万円となった」。同社の吉岡伸洋副社長は、ディスカウント戦略強化で得た成果をそう語る。

日替わり特売をやめたら経費も減った

安売りは諸刃の剣でもある。販売価格を下げることで売り上げを拡大できても、得られる利益が少なくなってしまう。そこでゲンキーは利益を確保できるように、経費を徹底的に削減している。

そのための施策の1つが、2020年5月から開始した「EDLP」(エブリデー・ロー・プライス)だった。「毎日安売り」と訳される「EDLP」の対極にあるのは、特定商品で集客し、通常価格の商品も購入してもらう「ハイ&ロー」型の日替わり特売。このどちらを選択するかによって店舗の運営も変わってくる。

商品の値段表示の変更や追加の品出しなど、日替わり特売では店舗で働く従業員の作業が増える。一方、EDLPでは値段表示を頻繁に変える必要がないため、それらの作業負担が軽減される。

チラシの配布回数もゲンキーの場合、以前は日替わり特売を告知するために毎週配布していた。しかし、EDLPを採用してからの配布頻度は2週に1回、もしくは1カ月に1回に減少した。その分、販促費を減らせるわけだ。

店舗のレイアウトを統一するなどの業務効率化を進め、売上高に対する経費率は2021年6月期第3四半期時点で16.8%。この数字は上場ドラッグストアの中で最低水準だ。

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