強要型リーダーが致命的に判断を誤りがちな訳 キレて無理強いする人を時代遅れにした変化
ほとんどの組織では、自発的に動く人、すなわち素早く決断し、すぐさま実行に移す人が出世する。私もそういうタイプなので、海軍で昇進した。それは、周囲のメンバーを急き立てたり、丸め込んだり、やる気にさせたりしてものごとを終わらせることが得意だったおかげだ。
私は自然と、そういうことをするのがリーダーとしての役割であり、ものごとを終わらせるのがほかの人より自分はうまいと感じていた。
そして、遅れを最小限に抑えるために、チーム全体としてやるべきことがどのくらいあるか、各メンバーにどれほどの貢献を期待しているか、また私たちは外部からどれほど頼りにされているかを、口頭でメンバーに伝えるようにしていた。
つまり私は、メンバーが中断の声をあげることを、あえてしづらくしていたのだ。まさに中断を阻止していた。
ここで「阻止」という言葉を使っているが、これは何かが起こることを防ぐために事前に何らかの措置をとるという意味だ。私の場合は、チームを赤ワーク(決まったことの実行)に専念させ、赤ワークから抜け出すハードルを高くする目的で、先のようなことを伝えていたのだ。
嵐に向かって航海を続け、方向転換の機会がありながらそれを生かせず沈没してしまった貨物船〈エルファロ〉の船長は、次のような言葉を発して、船員たちからの「中断」の呼びかけを阻止している。
「ほかにどうしようもない」という言葉の負の力
❖「あらゆる天候のパターンから逃れるなど不可能だ」と言い、「大変だ、大変だ」と取り乱した船員のモノマネを続けた。
❖「嵐に突っ込むのですか?」と尋ねた船員への返答が、「ほかにどうしようもない」だった。
いずれの言葉も、船長の決断に対する疑問に対して、壁となって立ちふさがるものだ。船長には、部下に発言させまいとする意図はなかったのかもしれないが、それでも中断を阻止する効果は十分にある。
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