強要型リーダーが致命的に判断を誤りがちな訳 キレて無理強いする人を時代遅れにした変化
1986年1月のある寒い朝、スペースシャトル「チャレンジャー」が発射されて爆発する74秒前、NASA幹部らは中断を阻止する行動をとった。
ロケットブースターを製造するモートン・サイオコール社の技術者から、寒波のため再度発射を遅らせてはどうかとの提案があった。それを聞いたNASAの幹部は肝をつぶした。
「何だって! いつにしろというんだ。4月か!」と叫んだ人もいたという。
大げさな感情表現、非現実的な喩え、憤慨。NASAの幹部たちは、予定どおりに物事を進める=時計に従うことで頭がいっぱいだった。そして、中断を阻止しようとした。
これではいけない。リーダーの立場にある人は、意思決定、新規事業の立ち上げ、飛行、手術を控えたミーティングといった場において、チームのメンバーに対して「中断する時間はある」と念を押すべきだ。たとえばこんな具合だ。
❖「これが重要な節目になると聞いていると思う。たしかにそれは事実だが、安全に行えない可能性があるなら、延期したほうがいいと思っている。その責任は私がとる」
❖「必要だと思ったら、いつでも中断を呼びかけてくれ」
❖「スピードを遅らせる必要があるという警告は、誰が発してもいい」
仮想例:建設現場の監督の言い方を評価する
では、中断を促す言い方について、よくある職場環境に当てはめて見ていくとしよう。
建設現場で、天候が悪化すると予報されている日から作業を開始することが決定したとしよう。作業チームはいつもどおり、上層部から言い渡されている期日に間に合わせるプレッシャーを抱えている。
敷地の造成で遅れが出たため、すでに予定より遅れていると誰もが自覚している。そんななか、現場監督は次のような言葉をチームに投げかけたとしよう。
b.「今日のノルマをこなすぞ」
c.「12時に確認にくるからな」
d.「少しの雪ぐらいでひるむなよ」
e.「危険につながる変化に気づいたら、メールで知らせてくれ」
f.「嵐がちょっと気がかりだな。いまから作業を始めるが、12時にあらためて検討する。それに先駆けて、11時30分に現場の状況を確認したい」
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