「節約疲れ」な消費者の財布を、どうしたらつかめるのか?《それゆけ!カナモリさん》
■節約疲れから各社の工夫が始まる?
4月16日付毎日新聞朝刊に、思わず目をひかれる社説が掲載されていた。「牛丼と弁当 値下げの余波が心配だ」。さすが生活者の視点を大切にする毎日。牛丼戦争が社説で取り上げられているのだ。社説は、牛丼戦争に象徴される値下げ競争の悪影響を危惧し、「値下げだけではなく、消費者が財布のひもをゆるめるような、サービスや品質での競争にも力を注いでもらいたい」と結んでいる。論説委員のお歴々、心配はいらない。「節約疲れ」は英語では「pent-up demand(抑圧需要)」というようだが、その需要を取り込もうと各社が工夫をこらして動き始めた。
『節約疲れの女性に「ちょい高め」パン コンビニ各社』(4月4日asahi.com)
従来より数十円から100円高いパンやデザートの販売に力を入れ始めた。「少し高くても、おいしいものを食べたい」という若い女性がターゲットだという。また、中堅コンビニ、スリーエフの中居勝利社長は、「消費者の低価格志向を先取りして小売り各社は値下げしてきたが、今年度上期でその競争も止まるだろう」との予想で、高価格帯の充実を検討中と記事中でコメントしている。
ポイントは、「従来より数十円から100円高い」というところだろう。抑圧された需要の向かう先は「贅沢」ではないのだ。ほんのちょっと。プラスアルファの消費。そこに商機があるのだろう。だとすると、そこは各社のプライシングの腕の見せ所だ。
消費者が「どれくらいまでなら払ってもいい」と考える価格を元にプライシングする「カスタマーバリュー(需要)志向価格設定」のなかでも「知覚価値価格設定」というものがある。市場調査などによって、消費者が受け入れやすい「売れる価格」を探り出すのである。
この時、二つ重要なことがある。製品がきっちりと差別化されていること。さらには顧客に「適切な価格である」と認識させることだ。
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