資本主義に「労働組合」が必要とされる根本理由 組合参加率と富裕層所得シェア拡大の深い関係

拡大
縮小
拡大する所得格差を是正するにはどうしたらいいだろうか(写真: ELUTAS/PIXTA)
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拡大する所得格差を是正するにはどうしたらいいだろうか。不平等が私たちの心をむしばむことを500超の文献と国際比較データから示した『格差は心を壊す 比較という呪縛』によると、格差の拡大と縮小の長期トレンドには、労働運動や政治イデオロギーの盛衰が関係しているという。同書の指摘を抜粋・編集して紹介しよう。

所得不平等の長期トレンド

環境の持続可能性や国民全体の福利改善を実現するのに比べれば、所得格差の是正など簡単だと思う人がいるかもしれない。しかし所得や資産の分配は、権力構造という厄介な問題と絡んでいる。

『格差は心を壊す 比較という呪縛』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

理念や政策の内容がいかにすぐれていても、すぐに実行に移せるわけではない。こうした問題を理解するために、過去の所得分配で大きな変化をもたらした要因を調べてみる必要がある。

ここで、一部の先進国の所得不平等に関する長期トレンドをみてみよう(図1)。

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

出所:リチャード・ウィルキンソン/ケイト・ピケット『格差は心を壊す 比較という呪縛』
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