資本主義に「労働組合」が必要とされる根本理由 組合参加率と富裕層所得シェア拡大の深い関係
最富裕層1%の所得シェアの推移で見ると、所得の不平等は長期的な縮小が始まる1930年代まで高水準で推移していた。国によって、あるいは所得の不平等を測定した尺度によって、長期的な縮小が始まる時期には5〜10年のズレがあるが、その後、不平等の縮小は1970年代末まで続いた。
そこから少し後れた国もあるが、所得の不平等は1980年前後から21世紀初めまで再び拡大した。不平等の水準が1920年代の水準まで戻ってしまった国もある。
不平等と労働組合参加率との関係
期間の前半は長期縮小、後半は再拡大という全体としての不平等の変化は、労働運動やその背景にある政治イデオロギーの隆盛と衰退を反映している。労働組合参加率を労働運動の影響力、つまり社会における拮抗力の指標として見た場合、不平等との関係は明らかだ。
次に、1966〜94年のOECD加盟16ヵ国について、不平等と労働組合参加率の関係を見ると、労働組合参加率が低い時期や、低い地域では、不平等は拡大した。この関係は多くの国々で長期トレンドとして繰り返し認められてきた(図2)。
さらに米国の1918〜2008年のデータでは、労働組合の力が強まると不平等が縮小し、逆に労働組合の力が弱まると不平等が再び拡大したことが示されている(図3)