資本主義に「労働組合」が必要とされる根本理由 組合参加率と富裕層所得シェア拡大の深い関係

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労働組合参加率と不平等の関係を、労働組合が組合員の高賃金を勝ち取るための手段という観点だけで見るのはミスリードである。むしろそれが意味しているのは、進歩主義的な政治の隆盛(とその後の衰退)である。

資産や所得の分配を決定してきたのは、社会の価値観である。それが最も明確な形で表れるのは、労働運動のイデオロギーや政治活動である。さらに共産主義への恐怖や、1930年代の大恐慌によって、マルクスが予言したような資本主義の崩壊が起きるのではないかとの不安を引き起こしたのも、そうした価値観だった。

大恐慌では、米国のフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策を実施して所得格差を大幅に縮小させた。彼が経済界や富裕層に説明したのは、資本主義を改革しなければ存続自体が難しくなるということだった。

資本主義崩壊への恐怖心が不平等を縮小させた

実際に、ルーズベルトは資本主義の自壊を防いだ人物として評価されることが多い。不平等を縮小させたのは、特定の仲間意識や目的の下に人々を団結させた集団的政治運動と、その運動が提起した最終的帰結に対する恐怖心である。

だが、現在の不平等に苦しむ多くの人々は、これまでのところ、進歩主義的な政治勢力を結集し、共通の理想や目標の下に団結するまでに至っていない。

1960年代末までは、共産主義の中央計画経済はその欠点にもかかわらず、資本主義よりも効率的で、高い経済成長率(CIAの推計による)を実現できると考えられていた。その見方が変わるきっかけになったのが、1970年代、1980年代の旧ソ連やその衛星国の経済パフォーマンスの悪化である。

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