リモート普及で一変「理想のわが家」譲れない条件 賃貸で高まる1DK人気、新築分譲市場も活況

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2021年度から、不動産まわりの税制にも変更があった。マイホーム向けの住宅ローン控除の対象が50㎡から40㎡以上に拡大されたのが、今年の目玉である。これにより、賃貸住宅に飽き足らない独身層は家を買う方向で動き始めた。

面積や部屋数を増やしても、住宅ローンの返済は家賃より安い場合も多い。特に、住宅ローン控除の還付金総額は新築で400万円、中古で200万円もある。こうした買い材料は揃っていたわけだ。

夫婦水入らずの世帯も家を買うことを考えるようになる。DINKS(共働き夫婦)にとってみると、2人とも家にいると仕事するにもWEB会議するにもそれぞれの部屋が必要になる。少なくとも1LDK、できれば2LDKとなると、賃貸よりも持家の方が物件数も多く、返済額も有利になる。

ちなみに、「コロナ離婚」という言葉をニュースなどで耳にするが、2020年、日本における離婚件数は前年比7%減っている(厚生労働省人口動態統計速報より)。夫婦が家に長く居ると、家事や育児の分担を決め、以前より仲良くなるという調査結果もある。こうした夫婦間のコミュニケーションの中で、家を探し始めることも多くなっているのだろう。

売れ行きが反転した新築分譲市場

こうして新築分譲マンションは2021年に入り、販売額で前年同期を3~4割上回っている(不動産経済研究所調べ)。三密を避けるために来場者を絞っているものの、来場者の成約率は以前の2倍になっているという。

新築の物件の少なさもあり、中古マンションへ流れる顧客層も多く、その在庫も急減している。在庫が少なくなると、価格の上昇スピードが速くなる。コロナ前もマンション価格は上がってきていたが、コロナ流行後の方が価格は急上昇している。

お子さんのいるファミリー世帯ではもっと顕著に家を探す方が増えた。夫婦に加えて、子どもも在宅になると、部屋数が足らないことになる。3LDKのマンションもいいが、戸建てになれば多くが4LDKになる。「もう1部屋」を最も取り込んだのは、新築分譲戸建て市場である。

首都圏の売れ行きは毎月在庫が1000戸減り続けるほどで、1年間で在庫は約1.2万戸減った(スタイルアクト調べ)。最近では、新築分譲戸建ての在庫が減りすぎて、注文住宅に流れる世帯も増えている。いずれにしても戸建て市場はコロナ流行後に未曾有の活況を呈している。

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