「年収1200万円以上」の夫は育休を取るべき理由 来年から児童手当の支給がゼロになってしまう

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このように児童手当の所得制限は扶養する人数によって変わります。そして所得制限に引っかからないためには扶養人数を増やすか、所得を下げることが解決策となります。所得といっても、給料だけが所得ではありません。不動産所得や事業所得などもそうですし、児童手当の所得の計算はそれら所得を合算して金額を算出します。

例えば、会社員の場合、不動産投資や副業をして赤字が出たりすると、給与所得と相殺できますから、所得全体を下げる効果があるでしょう。所得が下がれば税金も減りますから「不動産投資をすれば節税できますよ」というのは、よくある話です。

しかし、これらはテクニックが必要ですし、思ったとおりに相殺できるとは限りません。そこで筆者が提案するのが「育休の取得」です。もちろん、妻が出産を控えていないと、このテクニックは使えませんが、子どもが生まれると扶養人数が増えますから、所得制限の上限は今よりも上がるでしょう。加えて育休取得で所得が下がりますから、ダブルで所得制限対策ができるというわけです。

育休手当は最大で月31万円の支給

一方で気になるのは収入の減少です。育休期間中は育休手当が支給されます。育休手当は非課税ですし、育休期間中は社会保険料が免除されるため、一般的には育休期間中でも手取りの8割の収入は確保できます。ただ年収1200万円の人だと、この事情が変わるのです。それは育休手当に上限があるためです。

育休手当は、育休に入って最初の6カ月間は「給料の67%」が支給されます。しかし給与額は上限が設定され、2020年8月現在の上限は45万6300円です。つまり、育休手当は45万6300円の67%、「最大でも約31万円」なのです。年収1200万円の夫の毎月の給料が80万円だとすると、手取り額は60万円ほどでしょう。1カ月育休を取得する場合、育休手当の約31万円は支給されますが、収入が半減してしまうのです。

ただし、育休で所得が減り、所得制限内に収まると、翌年に毎月5000円、年間6万円の特例給付が支給されます。もう少し長期間育休を取得し、所得を減らして、児童手当の所得制限内に収まると、毎月1万5000円、年間18万円の児童手当が支給されます。兄弟がいれば、兄弟分の特例給付、あるいは児童手当も支給されます。

とはいえ、収入全体で考えると金額は減るでしょう。残念ながら、特例給付カットを回避できたとしても、減った収入をカバーできるほどではありません。

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