世界企業が次々と「大坂なおみ」を起用する理由 ナイキやLVMH、リーバイスは何に惹かれたのか

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4月には彼女は、メラニン色素の濃い肌の人を対象にしたスキンケア製品を扱うKinlòという、自身が立ち上げた会社のCEOに就任すると発表した。これはGoDaddyがプロデュースする。フォーブスによると、大坂は2019年5月から2020年5月まで独占契約やトーナメント賞金で3740万ドルを稼いだ。これは、女性のアスリートが1年で得た金額としては過去最高だ。

「彼女は私たちが一緒に仕事をした初めてのプロテニスプレーヤーです」とリーバイスのブランド担当社長、ジェン・セイ氏は述べる。

「しかし、彼女は私たちにとってそれを超えています。人間の平等について声を上げたり、ほかの人々を勇気づけているように、彼女は発言には非常に力があります。彼女は率直にものを言います。そこが、私たちが彼女を気に入っている点です。何をすべきか教えなければならないような人とパートナーを組むのは、あまり意味がありません」

いつでも自分の考えを話す用意ができている

大坂はナイキと協力し、若い女性をもっとスポーツに導くためのアカデミーを設立した。LVMH( モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)に関しては、30万ユーロの補助金にふさわしい新進ファッション・デザイナーを選ぶ審査パネルに参加。大坂の足跡はあっという間に、会社管理ソフトウェア「ワークデイ」から飲料水「ボディアーマー」まであらゆるものに残されたようだ。

「彼女は究極の嵐です」と、何度か大坂のスポンサーと共同作業をしたブランド・コンサルタントのシンディ・ギャロップ氏は話す。「彼女はすばらしいアスリートです。社会正義について強い意識をもち、いつでも自分の考えを話す用意ができています」。

「3番目に」とギャロップ氏は続ける。「彼女は女性で、4番目に彼女は白人ではありません。私はこんな言葉を憎悪し、嫌悪し、とても嫌いですが、彼女は、言葉を借りれば、多様性を備えています。あらゆるボックスにチェックが入ります。ことにブランド・マネジャーがこう考えているのが聞こえてきます。『今は、スポンサーになるなら彼女が絶対に格好の対象だ』と」。

過去のテニススターたちは、ラケットや鎮痛剤、時計(大坂もタグ・ホイヤーの宣伝をしている)、絶え間なく変わるファストフードのイメージキャラクターなどを務めてきた。

3月のある月曜日、大坂はサラダチェーン「スイートグリーン」のロサンゼルスにあるテストキッチンで、同レストランのドレッシングの1つ、レムラードがもうすぐメニューから消えることの説明を受けていた。

「これはなぜ季節限定なのですか」と大坂は尋ねた。「ピクルスのせいです」と、スイートグリーンの研究開発担当のシェフ、ケイトリン・シャノン氏は答える。大坂はうなずいた。彼女はマスクを着け、頭の上に結っていて、エプロンの下には、緑と黒のスエットパンツを着ていた。

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