「気候変動」が近い将来もたらす2つの経済リスク アメリカも実質的影響とリスクを検証し始めた
フロリダ州では、災害リスクの高い沿岸地域の住宅に対する需要の出遅れが州内の他地域に比べて目立つようになり、住宅価格にも影響を及ぼすようになった。
全国的に見ても、銀行が沿岸地域の抵当権を政府系住宅金融機関のファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)とフレディマック(連邦住宅抵当貸付公社)に売却し、バランスシートから外す流れが強まっている。災害リスクの高い地域で住宅ローンの貸し倒れリスクが増大してきていることを銀行側は認識、納税者にリスク転嫁していることを示す動きだ。
激化する自然災害の影響は保険市場でも感じられるようになっている。カリフォルニア州では保険会社が山火事の起こりやすい地域の住宅に対し保険適用を拒むケースが多発、州政府や自治体が対策に大わらわとなっている。同様の傾向はアメリカ西部の他州にも広がっている。
気候変動による影響とリスクを検証へ
こうした脅威に対応するため大統領令は、住宅ローンを監督する連邦政府機関に対し、気候変動が住宅ローンに与える影響を明らかにする方法を見つけ出すよう指示。財務省の一部門である連邦保険局にも、保険会社が直面する気候変動関連リスクの精査を命じた。
連邦政府が資金を拠出する洪水地帯の道路や建物の建設プロジェクトについても、より厳格な基準を課す規制を復活させるとしている。バラク・オバマ大統領が制定し、ドナルド・トランプ大統領によって撤回された規制をよみがえらせるということだ。
「投資した住宅に対し、異常気象や海面上昇がもたらす真のリスクを国民が把握できるようにしなければならない」とバイデン政権で気候変動問題を担当するジーナ・マッカーシー大統領補佐官は述べた。「リスクを知ることが、実際に問題に対処するための第一歩となる」。
(執筆:Christopher Flavelle記者)
(C)2021 The New York Times News Services
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