不動産登記「オンライン申請」実践して見えた課題

どこまで行政手続きの電子化を進められるか

不動産登記のオンライン化はどう進んでいくのでしょうか(写真:Natee Meepian/iStock)

今年に入って、22年前に借りた住宅ローンを完済した。金融機関の担当者が「抵当権抹消登記はどうしますか。司法書士を紹介しましょうか」と聞くので「良い機会なので、自分でやってみます」と答え、申請に必要なものを用意してもらうことにした。

ちょうど国会では、相続登記の義務化に向けて民法・不動産登記法改正案の審議が始まり、行政手続きのオンライン化促進に向けたデジタル改革関連法案が提出されるところだった。両法案とも5月までに成立したが、事前に不動産登記のオンライン申請の使い勝手などを調べる「良い機会」と思ったのだ。

15年前とほとんど変わらないシステムの使い方

20年前にスタートした国家IT戦略「e-Japan戦略」で、法務省は不動産登記法を抜本改正し、2005年から「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)」の運用を開始している。当時も取材を兼ねて利用した経験があるが、専用ソフトをダウンロードしたり、住民基本台帳カードに登録した公的個人認証サービスの電子証明書を読み込むためのICカードリーダーを購入したりと手間がかかった。

15年振りに不動産登記のホームページにアクセスしてみると、2年ほど前に13分ほどのYouTube動画「動画でわかるオンライン登記申請(抵当権抹消登記編)」が公開されていた。抵当権抹消登記もオンライン申請できることがわかったが、システムの使い方は15年前とほとんど変わっていない。

申請に必要なものもほとんどが紙の書類なので、スキャナーでPDFファイルにして添付し、後から原本を郵送するなどの手間もかかる。登記申請書をオンラインで送付するだけでは大してメリットはない。

「自分で登記手続きするのであれば、法務局に電話して事前相談の予約を取ってください。申請日の当日でなければ、金融機関の代表者印を押した委任状をお渡しすることができませんから」。金融機関の担当者からはそう助言されたが、本人が手続きを行う場合、法務局の相談員と面談しながら行うのが一般的なやり方のようだ。

登記手続きしたのは2回目の緊急事態宣言が1都3県に出ていた2021年3月上旬。住宅ローンを借りた金融機関の支店と郵便局は、自宅から徒歩5分以内にあるのだが、さいたま地方法務局に行くには電車で30分以上かかる。

まず法務局に電話して事前相談が必要なのかどうかを確認した。法務局のホームページから申請書の用紙はダウンロードできるので、自分で作成できるのなら事前相談は不要とのこと。今回は申請書用紙を使って、自分で登記手続きができるかどうかを試すことにした。

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