名古屋「きしめん」が絶滅の危機に瀕しているワケ 味噌煮込みうどんにご当地料理の座を奪われた

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味噌煮込みうどんは、きしめんよりも単価が高いうえに土鍋に麺と具材、つゆを入れて火にかけるだけなので手もかからない。そんなことから、名古屋めしがブームとなった2000年代初頭、市内の麺類食堂はきしめんよりも味噌煮込みうどんを推したのだ。ある店の店主はこう話す。

「きしめんと味噌煮込みうどんを出したときのお客さんのリアクションが違うんです。きしめんは反応が薄いのですが、味噌煮込みうどんのグツツという音とビジュアルに盛り上がるんですよね」

味噌煮込みうどんは、ビジュアルもさることながら赤味噌(豆味噌)に慣れていない人にとっては未知の味。わざわざ県外から来たら食べてみたくなるのも理解できる。一方、きしめんは、「うどんやそばと同様に何となく味が想像できる」という声をよく耳にする。そんなことから、きしめんの存在感はどんどん薄くなっていった。

オープンのきっかけは「高品質な冷凍麺」

「星が丘製麺所」がある星が丘テラスは、地下鉄東山線星ヶ丘駅と名古屋市営バスのターミナルが隣接していて、毎日多くの人々が行き交う。モール内にはファッションや雑貨、カフェ、レストランなどの店が軒を連ねている。

とりわけ「星が丘製麺所」が入る別棟のTHE KITCHENは、その名のとおり、イートインのみならず地元人気店のスイーツやデリのテイクアウトや厳選したワインや調味料など物販の店も出店。カフェやファストフード感覚できしめんやうどんが楽しめる。

店名を「製麺所」としたのは、深い理由がある。その昔、名古屋の街には数多くの公設市場があった。市場内には地元の製麺所が出店していて、持ち帰りのきしめんやうどん、そば、中華そばの麺を販売していた。小さなイートインのスペースもあり、小腹が空いたときにおやつ代わりに立ち寄る客も大勢いて、小銭を握りしめて食べに来る子どもたちの姿もあった。かつて市場内にあった製麺所直営のうどん店のオマージュなのである。

製麺所のスペースにはさまざまな機械が並ぶ(筆者撮影)

「星が丘製麺所」の店内で目を引くのは、製麺機が並ぶ製麺所のスペース。店の心臓部であり、堀江さんと衣笠さんが、納得する麺が完成したからこそ、店のオープンに至ったのだ。

「昨年の夏、僕のきしめんと太門君のうどんを冷凍麺にした後、解凍して食べる機会があったんです。正直、まったく期待していませんでしたが、味も食感も生麺とほとんど変わらなくて、とても驚きました」と、堀江さん。

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