中国政府が発表した経済データによると、4月の中国経済は引き続き回復基調にあるものの、その中身はアンバランスだ。好調な輸出が工業生産を力強く引っ張る反面、中国国内の消費は弱含みが続いている。
4月のドル換算の輸出額は前年同月比32.3%増となり、成長率が徐々に鈍るという事前予想を覆す結果となった。輸出の増加が牽引し、工業生産の成長率は前年同月比で9.8%まで伸びたが、これは事前予測をやや下回るレベルだった。
一方で旺盛な外需に比べて、国内消費は新型コロナウイルス流行前のレベルまで戻っていない。新型コロナ禍中で消費が落ち込んでいた前年同月と比べても17.7%増にとどまり、事前予測を大きく下回った。
中国国家統計局報道官の付凌暉氏によると、4月の国内経済はいまだ回復途上にあるなかで、新たな問題も出現している。海外では、一部の国で新型コロナの変異株の感染が広がり、世界経済の回復の足を引っ張る可能性も出てきている。一方で中国国内では、国際的コモディティー商品の価格上昇により、川上産業の原材料価格も上昇し、川下産業の生産や経営にコスト上昇の圧力を及ぼす可能性もあるという。
原材料価格の急騰で工業生産が加速
昨年4月のデータは新型コロナ流行期で数値自体が低いため、2019年を基点とした2年間の平均成長率を見たほうが、中国経済の回復状況をより正確に把握することが可能だ。生産側から見ると、4月の工業生産の2年間の平均増加率は6.8%で、前月比で0.6ポイント加速している。
野村証券の中国地区首席エコノミストである陸挺氏の分析によれば、原材料価格の急騰こそが工業生産を加速させた中心的な要因だ。原材料の値上がりを見込んだ駆け込み生産や在庫の積み増しがデータに表われた格好であり、最終的な実需にはむしろ冷水を浴びせているという。
また需要側から見ると、4月の社会消費品小売り総額の2年間の平均増加率は4.3%で、前月比2ポイント減速した。陸氏の分析によれば、背景には国民に対するソーシャルディスタンスなどの防疫措置が残っていることや、消費者の購買意欲がまだ十分旺盛でない可能性があるという。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は5月17日
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