ムーディーズがトヨタ自動車の格付けを引き下げた理由《ムーディーズの業界分析》


コーポレート・ファイナンス・グループ
VPシニア・アナリスト 臼井 規

ムーディーズは4月22日、トヨタ自動車および同社の信用補完付き子会社の無担保長期債務格付けAa1をAa2に引き下げ、格付けの見通しをネガティブとした。これは、2010年2月9日に開始した引き下げ方向での見直しの結論である。

格下げした理由

今回の格下げは、トヨタ自動車の収益性が低水準で推移しており、この状況が長期化するおそれがあるとのムーディーズの見方を反映している。さらに、米国を中心として起きている品質・リコール問題によって、同社がこれまで有してきた価格面での競争優位性を今後も維持できるかについて、不透明感が増大していることも考慮した。

また、10年における世界の自動車販売台数の緩慢な回復、業界全体の余剰設備を考慮すると、少なくとも12年までは、同社の営業利益率が現在の格付けにふさわしい水準を継続的に下回るおそれがあると考えている。

今後数年間、同社の収益性に対してさらに影響を与えうるのは、リコールに関連した訴訟費用である。その総額を予想するのは困難であるが、多大なものとなる可能性がある。しかし現在のところ、トヨタ自動車はこうした問題に対処できるだけの資本と流動性を保有しているとムーディーズはみている。

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