感染症対策のプロが警鐘、東京五輪「7つの大問題」 「何が何でも五輪開催」はあまりに危険だ

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懸念6:偽陰性問題

タン氏は、特に抗原検査で本当は新型コロナに感染していても、どうしても陰性と出てしまう「偽陰性」の問題が発生すると指摘する。抗原検査は15分程度で可能だが、PCR検査と比べて精度が劣るためだ。

「PCR検査はゴールドスタンダード(黄金律)の手法である。偽陰性はPCR検査ではまれであり、むしろ迅速抗原検査(RAT)でより問題となりうる。迅速抗原検査は東京五輪でも使われるはずだ。

一般的に迅速抗原検査は無症状感染を見つけるためには有効とされる。体温測定に加えて、2次的な検査として使われる。しかし、新型コロナウイルスの陰性を確認するためには信頼できる検査ではない。

このため、韓国では、迅速抗原検査の後でも、マスク着用とソーシャルディスタンス確保が実施されている。こうしたことで、安全水準が上がり、選手間の交流も認められる」

なお、検査体制について付言すれば、プレーブックでは、選手1万5000人とコーチなどは入国後、原則として毎日検査を行うことが明記されている。しかし、東京都の現在の日々の検査件数は1万前後にとどまっている。そもそも検査が追い付くのだろうか。

懸念7:医療資源の逼迫

タン氏は、オリパラ支援のために医療資源と研究施設を充当することで、一般医療システムが逼迫することを危惧する。

タン氏は、選手らが外部との接触を断つ「バブル方式」といった公衆衛生上の感染対策をいかに厳格に実施しようと、東京都の医療提供体制が逼迫していては、五輪開催は危険だと警告する。

「大会中、他の日本人は本当に健康のままでいる必要があるだろう。そうでなければ、医療スタッフ不足により、病院での診療を危うくしてしまうかもしれない」

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