動き出すインド初の高速鉄道計画 日本企業にとって大きなビジネスチャンスに

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もし現状の質が変わらなければ、鉄道は道路輸送との競争に敗れ、旅客、貨物ともにシェアを減らすはずです。

インド鉄道の問題と、それを商機に変えるTo-Doリストはまだまだ続きます。インド経済の成長は確実であり、輸出入と日用品の輸送は顕著に増えるはずです。所得水準と都市化に伴い、都市間交通は増え、長距離旅行の需要も増えることでしょう。

モディ首相は選挙期間中、鉄道を潜在的な「インドの成長エンジン」と呼びました。インド人民党(BJP)は政権公約として「ダイヤモンド四角形プロジェクト」と銘打った新幹線整備構想を掲げており、すでに国際協力機構(JICA)には多くの鉄道プロジェクトが持ち込まれています。

インド初の高速鉄道計画

インドの鉄道部門は日本企業に多くのビジネスチャンスを提供します。JICAはインドの道路、鉄道、上下水道、環境保全、電力他、その他のインフラ・プロジェクトなど、約230のODA案件にサインしています。

デリーメトロ・プロジェクトの後、ムンバイ~デリー間の貨物専用鉄道建設事業(DFC西線)は、そのうちもっとも重要なプロジェクトですが、なかなか前進しませんでした。もう一つのムンバイ~アーメダバード間を結ぶ、インド初の高速鉄道計画では、両国政府合同による実行可能性調査が始まりました。両国政府は2015年7月までに、この調査を完了する予定です。

道路をはじめとする交通網は、文明の始まりから経済発展を後押ししてきました。もしインドが本格的な工業化を開始すれば、インド鉄道は交通手段の中心的存在として黄金時代を迎えることは間違いありません。インドの多くの人が、「シンカンセン」という名前とコンセプトに熱烈な愛着を感じており、日本の鉄道会社、車両メーカーにとっては大きなチャンスといえるでしょう。

モディ首相は大の親日家。すでに日本が受注した旗艦プロジェクトであるデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)が動き出していることから、2015年2月に発表される来年度の鉄道予算計画に注目するべきでしょう。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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