日立が鉄道事業で世界展開を強化 グローバルCEOのドーマー氏に聞く
――日立の鉄道事業の強みと、海外プレーヤーに追いつかなければならないところは。
われわれの製品の品質は極めてすぐれている。一方、追いつかなければならないところは、グローバルでの存在感を高めていくということだ。幸い日立は非常に大きな企業で、世界中に拠点を展開している。ローカルマーケットを理解するために、その拠点を活用することができる。
――仏アルストム、独シーメンス、加ボンバルディアのいわゆる「ビッグ3」を目指すのでしょうか。
鉄道だけをみるとビッグ3よりもかなり小さいが、日立全体の事業規模はビッグ3よりもはるかに大きい。日立グループのパワーを使うことができるので、その中に鉄道事業があるのはメリットだ。
日立は鉄道車両の製造工場を日本と英国に抱えている。一方、競合他社は世界中の各地に非常に多くの工場を抱えており、それが頭痛の種なのではないだろうか。事業を伸ばすことは重要だが、引き続き利益を伸ばしていくことも大切だ。
カギ握る通勤列車の受注
適正規模がどの位なのかは分からないが、この先、もう少し規模を拡大していく必要がある。ただし、需要のある場所で売り上げを伸ばし、戦略的かつ利益の上がる契約をきちんと確保することが大切だ。
――どのような製品分野や市場を狙っていくのか。
運行管理や信号関係の製品で欧州の認証を取得しており、欧州中でこの技術を展開することができる。他の市場でもスペックとして活用できるので、オーストラリアやほかの新興国市場にも展開できる技術だと考えている。
保守が付いてくる車両事業も伸ばしたいが、信号関係の装置なども拡大していきたい。マーケットに関しては、さまざまなチャンスがいろいろなところにあるので、直接的なお答えをするのは難しい。ベストなリターンを上げるために、どこに資源を投入しなければならないかを検討する。
――15年半ばに完成する英国ダーラム州の工場で、IEPに納入する『Class 800シリーズ』の生産を行う。それが終了する19年以降、工場や人材をどのように活用していくのか。
英国はこの10年で列車利用者数が5割も増えており、車両ビジネスにとって成長市場だ。ここでは通期列車が主要商品になる。IEPのような国際高速列車タイプも追加のビジネスが出てくるだろうが、まずは通勤列車のキャパシティー上げる必要がある。
現在2つの入札に参加しており、その結果は来年の始め頃に出る。英国の工場についてはまったく心配していない。英国もヨーロッパも新しい機会は十分あり、成功を収める。
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