日立、"名より実を取る"鉄道車両の成長戦略 新幹線の「顔」争奪戦では川崎重工が先行
「I do not agree(私はあなたの見方には同意しない)」。6月12日に開催された日立製作所の事業説明会で、同社の鉄道事業トップは筆者の質問を明確に否定した。
日立の鉄道事業は川崎重工業と双璧をなす。2009年には、英国で「ジャベリン(投げ槍)」の愛称を持つクラス395という高速車両の製造を2億5000万ポンド(約427億円)で受注した。同じく英国で現在進行中のIEP(都市間高速鉄道置き換え計画)は、総額58億ポンド(約1兆円)というビッグビジネスだ。
一方で、足元の国内事業はどうか。伸び率こそ鈍いものの、売上高は堅調に増えている。だが、近年に登場した新幹線車両であるE6系、E7系、そしてフリーゲージトレイン第3次車のすべてにおいて、車両の“シンボル”といえる先頭形状のデザイン受注をいずれも川重に奪われてしまった。
「毎日たくさんの車両を製造している」
海外展開に注力するあまり、国内がおろそかになってしまったのではないか。この疑問に対する答えが、交通システム事業グローバルCEO(最高経営責任者)のアリステア・ドーマー氏による冒頭の回答だ。
「笠戸工場では毎日、たくさんの新幹線車両を製造している」(ドーマーCEO)。同グローバルCOO(最高執行責任者)の正井健太郎氏も「新幹線のデザインは各社で分担しており、当社も別の重要な部分のデザインを行っている」と言う。
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