モディ政権はここにメスを入れます。7月8日にはゴーダ鉄道相が、国鉄の建設と運営を民間と外資に向けて開放する内容を含めた改革計画を発表すると同時に、高速鉄道の建設を推進する方針も明らかにしました。
ゴーダ鉄道相は同時に、2015年度の鉄道予算提出の際には、鉄道に110億ドルを投じ、10億ドル相当の民間資金を利用する構想を明らかにしています。民間資金は鉄道立体交差橋など安全対策に使用する見通しです。
近代化が遅れたインド国鉄
これまでインド国鉄が抱える数多くの問題の中でも、最大のものが近代化の遅れ。延伸も進んでいません。インド国鉄の鉄道網は現在、総延長距離で6万4099キロメールで、1947年の5万3996キロメートルから62年もかけて1万キロメートルしか伸びていないわけです。明確なビジョンや政策を欠き、予算も足りなかったということがその主な原因です。
現在の鉄道はもはやパンク寸前で、経済を迅速に発展させるには不十分です。地形的な問題から鉄道が延びていない地域もまだあるため、こうした地域にも経済発展の恩恵を平等に受けられるよう、モディ政権は鉄道の敷設を進めていく予定です。
安全対策も重要です。先進国から来た外国人旅行者はインドの鉄道で旅行するとき、必ずその安全性について疑問に思うはずです。インドには無人踏切が17000カ所あり、ほとんどの鉄道事故は無人踏切で起きています。列車同士の衝突、脱線、火事、踏切での自動車との衝突など、さまざまな種類の鉄道事故がインドでは年間で200件以上も起きています。安全性を高めるために、時代遅れの鉄道設備をすぐにも交換しなければならないし、新しいテクノロジーの導入や鉄道網の拡張に必要な鉄道員のスキル向上を図る必要があります。さらに、顧客本位のサービスを提供していくことも求められます。新政府は官民パートナーシップ(PPP)を採用して、外国企業の参入を促し、インドの鉄道の安全性の向上と技術の刷新、そして総合的な改革を図ってく方針を明らかにしています。
電化も課題です。インド鉄道はディーゼルエンジンが多く、軽油を大量に消費しています。軽油の価格高騰はインド国鉄の損益に大きな影響を与えており、旅客運賃への転嫁を行わなければなりません。しかし政治的理由から鉄道運賃を上げてこなかったため、赤字が膨らんでいます。
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