マンションは「ハード」でなく「ハート」で守れ 有志のマンション理事たちが叫ぶ"災害への備え"
出席者からは「震災が起きた際に、タンスの下敷きになって動けなくて、安否ステッカーを掲示できない部屋の対応はどうするのか」「応答がない場合、窓を破って進入しても、法律上問題がないのだろうか」といった、実際の災害時を想定した質問も出ていた。
「備蓄はしない」という選択も
続いて、「プラウドシティ大泉学園」(練馬区東大泉、総戸数403戸)から独自の防災対策について解説があった。
同マンションでは災害対策本部だけではなく、普段から「協力隊」と称するボランティア団体を組成しており、震災が起こった際にすぐさま活動できる体制を整えている。
防災訓練も独特で、「震災対策訓練」と「消防訓練」の2回にわけて、目的を明確にして実施している。また、経済面の負担や自助意識の必要性などを考慮し、管理組合で水や食料などの備蓄をあえてしていないという。
同マンションの桜井賢一さんは「震災が起きた時に、いかにして情報を伝えるのかを今後検討していかなければならない。停電したら、インターホンなど各戸への連絡機器が使えない。震災訓練で選挙用メガホンなどを使用してみたが、とても全戸に声が届かなかった」と、非常時だからこそ起こりうる問題点を指摘した。
最後は、荒川沿いに建つ「リバーフェイス」(荒川区南千住、総戸数303戸)から説明があった。同マンションは防災訓練で、安全確認、火災消化、炊き出しなどの訓練を実施している。こちらのマンションも、シナリオをつくって実践するという念の入れようだった。
ただ、どれほど訓練の内容に力を注いでも、住民の参加が少ないと意味がない。「防災訓練にどのようにして住民を集めるのかに苦心する。事前の広報活動が必要なのだろうが、具体的に何をすれば効果があるのか、なかなか答えが出ない」と、同マンションの柴田康丈さんは理事としての悩みを吐露していた。
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