妻夫木聡と岡田准一の会話に見る「敬語」の難しさ 敬語は「敬意」ではなく「距離感」の表れ?

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妻夫木は「未だに気になることがある」と切り出すと「同い年なので岡田くんにはタメ口を話してしまってるんですけど。いまだに岡田くんが敬語なのが気になる…」とポツリ。
岡田は「(自分は)年下でも敬語を使います」と弁解するもすぐさま「でも青木ムネには普通に話してたんです」と暴露。「まだ、やばい。俺は壁があるぞ、これって」と肩を落とした。
(「妻夫木聡〝同学年〞岡田准一の〝敬語〞にがっくり「壁がある」/「ORICON NEWS」/2018年10月23日配信)

妻夫木聡にとって、同じ年齢の岡田准一に敬語を使われることは、自分に敬意を表してくれているというよりも、自分との間に「壁」を作られることなのだ。

敬語は「敬意」ではなく「距離感」の表れ?

さらにこの例は、同じ話し手でも、敬語に対する意識が微妙に揺れていることを示している。まず妻夫木は、「同い年なので」と、敬語は年齢による上下関係にもとづいて使うという意識を持っていることを示している。

一方で、岡田は、「(自分は)年下でも敬語を使います」と、敬語を、相手に対する敬意の表現として使うという意識を表明している。

しかし、妻夫木の「でも青木ムネには普通に話してたんです」(「青木ムネ」は共演している同年齢の俳優、青木崇高)は、岡田の実際の敬語使用は、本人が言っているように「相手に対する敬意」にもとづいているのではなく、相手との距離感にもとづいていることを暴露している。

ここでは、敬語に対する意識が、すっかり親疎関係に移行したわけではなく、まだまだ(年齢による)上下関係ともかかわっているだけでなく、本人が表明している意識と実際の敬語使用がずれていることも明らかにされている。

このように、さまざまな敬語意識が同時に介在している状況で、どのように話すのが「正しい敬語」なのかを決めることなどできない。

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