5月から少しずつ始めるべき「4つの暑さ対策」 自律神経が疲弊すると「だるさや不眠」を招く

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まず気温については、暑い場所での長居を避けることが熱中症予防の観点からも大切ですが、頻繁に気温が変化するような環境においても、体温調節の機会が増えるために自律神経の負担が大きくなります。そのため、室内が涼しすぎることのないよう、外気温と室温の差は5℃程度に調整することが大切です。電車などで室温のコントロールがご自身でできない場合はカーディガンなどの羽織りものを持参しましょう。

食事は暑いとつい冷たいものばかり食べたり飲んだりしがちですが、冷えた飲料や食事を一気に過剰にとると下痢や、消化管の負担による胃腸障害の原因になります。食事は冷たいものをとにかくとるのではなく、涼しい場所でゆっくりと、温かいスープなどを食べることで副交感神経が休まり、消化吸収が緩やかになることで食事が無理なくとれるほか、胃腸障害も予防することができます。

炭水化物の過剰摂取に注意

また、暑い時期は清涼飲料水や、食事ではそうめんなどの食べやすい炭水化物を摂取しがちですが、これらには糖質が多く含まれており、糖質をエネルギーに変換するためにビタミンB1が消費され、不足した結果かえって疲れやすさを覚える場合があります。そのため豚肉やウナギなどビタミンB1を積極的に摂取するとよいでしょう。香辛料や香味野菜を加えて、食欲増進効果を狙うのも効果的です。

睡眠は自律神経の1つである交感神経を休めるために重要です。室温は25~26℃程度になるように調整すると体の冷えを防止しつつ快適な温度で眠ることができます。冷房は一晩中つけていても構いませんが、直接身体に風が当たらないように、またマスクなどによる乾燥対策を行いましょう。

もう1つのポイントである運動習慣についてですが、これは体温調節に必要な発汗能力を上げるために大切です。エネルギーを適度に消費することで食欲が増進され、また疲労回復のためにすっきり眠ることにもつながります。日中は熱中症の危険性がありますので、早朝や夕方のウォーキングで少し汗をかくとよいでしょう。通勤で片道10分程度の徒歩がある方は、無理なく取り入れられるかと思います。

なお、熱中症予防としての運動中の水分補給は、水やお茶よりもスポーツドリンクや経口補水液OS-1の適切な摂取が適しています。理由としては、水やお茶は「水分」は確かに取れますが、「塩分」を含まないため、うまく身体に吸収されないばかりか、体内の塩分やミネラル濃度が低くなってしまい、かえって体の不調をきたす場合があります。詳しくは私の過去の記事【「熱中症」で見落とされがちな3つのポイント】でも紹介しているので、参考にしてみてください。

初夏から夏へと向かうこの季節、暑さが本格化する前に生活習慣を少しずつ改善することで健康な夏の生活を迎えていきましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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