金持ちになると実はストレスも膨らむ納得の訳 高級なものを持つと、その管理にも気を遣う

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日本人にそのような思想はありませんが、どんなに大変な時代も村社会で力を合わせて生きてきた歴史があります。

ところが、村がなくなり核家族化して、格差が広がり、自己責任論を押しつけられる今の社会を生きる人たちは、誰にも頼れないと思い込みがちです。するとお金しか信じられなくなるので、現金の預貯金が多い国になったのだと思います。そのような社会でも幸せになるためには、やはり程よい距離感でつながれる温かい人間関係を育むことが大事です。

先ほども例にあげたシェアハウスやSNS、オンラインサロンなどのコミュニティを通じて、新しい形の仲間づくりをはじめている若い世代も多いです。コロナ禍でテレワークが広がった影響もあり、Iターン、Uターンで地域とのつながりを取り戻す人たちも増えています。

幸せになりたいなら、まずは人を幸せにする

また、フリーランスとして自由に仕事する人のほうが、会社員より幸福度が高いというデータもあります。だからといって、いきなり脱サラして安定した生活を捨てるのはリスクが大きい、という人もいるでしょう。

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その場合は、やりたいことで副業をはじめたり、ボランティアをして人に感謝されるようになったりすると、人とのつながりによって幸せを感じられるようになります。

幸せになりたいなら、まずは自分が人を幸せにする。愛されたいなら、自分から人を愛する。

そう意識して行動することで、多様な人たちとつながり、豊かな人間関係を育むことで、私たち人間はお金持ちになるよりも幸せを感じることができるのです。

働き方や生き方を見直したいと思う人は、ぜひこのことを覚えていてもらえると嬉しいです。

(構成:樺山美夏

前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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