イーロン・マスクも倣うロケット科学者の思考 先行き不安な人に勧める「第一原理から判断」
類推によって判断するなら「NASAでうまくいかなかったのだから、私たちも無理に違いない」とするのが普通だろう。だがその考え方は間違っている。再利用反対の根拠はたったひとつ、スペースシャトルのケーススタディ。しかしながら、問題があるのはスペースシャトルだけであって、再利用可能なすべての宇宙船ではない。
2015年12月、貨物を軌道に送ったスペースXのファルコン9ロケットの1段目が、首尾よく地上に垂直着陸した。再利用可能なブースターを地球に着陸させたのだ。以来、同社は回収した数多くのロケットを改修して再利用し、保証つきの中古自動車のように再び宇宙に打ち上げてきた。かつて無謀な実験と言われたことが、今では当たり前になりつつあるのだ。
第一原理思考によって生まれるイノベーションによって、スペースXは宇宙飛行にかかるコストを3分の1に満たないほど劇的に削減することができた。
業界の外に人材を求め思考パターンを変える
実は、行動を起こさない――過去の実績の幻にとらわれている――ほうが、リスクははるかに大きくなる。今いる場所を飛び立たない限り、行きたい場所にたどり着くことはできないのだ。小説家のヘンリー・ミラーは、「今の面白みのない自分から脱却し、もっと上に行くためには、炭になり石にならなければいけない」と書いている。
過去の実績を台なしにする危険があったとしても、あなたが何者であるかが変わるわけではない。あなたはこれからそれを突きとめるのだ。焼け跡の混乱が収まれば、美しい何かが空を駆け回るだろう。
しかし、重要なのは「正しい思考プロセスへの責任が伴わない限り、破壊だけを実行しても十分でない」ということ。根本的な思考パターンを変えなければ、ほとんど同じことが続くだけ――何度解体ショーを開こうとも。
根本的な思考パターンを変えるには、それにうってつけの人材を雇う必要がある。業界を変革しようとするなら、業界の外に人材を求めるのが有効だ。そこでなら、思考を縛りつける見えないルールで周りが見えなくなっていない人々を見つけられるだろう。
初期のスペースXは、自動車や携帯電話業界の人材を多く採用した。どちらの業界もテクノロジーの変化が急速で、迅速な学習と適応――第一原理思考ができる人の証し――が必要とされるからだ。
最初の原理に戻ることは、あなたが思っているよりも簡単だ。建物を解体する本物の鉄球ではなく、思考という架空の球を使えばいいのだから。
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