中国で規制クリアできない日系メーカーの憂慮 上海モーターショーで見えたNEV対応への課題

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トヨタがICE車分野でもニューモデルを続々と発表する中、「2040年に脱ガソリン」へと舵を切るホンダは、EVに加えPHEV(プラグインハイブリッド車)も展開。日産は独自の電動化技術であるシリーズハイブリッドの「e-Power」を含めて電動化を訴求する。

ホンダは、中国初となるホンダブランドのEV、「SUV e:prototype」を世界初公開し、中国市場で2022年春をめどに発売すると発表。「BREEZE PHEV」は、広汽ホンダ初のPHEVだ。

人気のSUV市場に投入する「BREEZE PHEV」(写真:本田技研工業)

また、「5年以内に中国でホンダブランドのEV10車種を投入する計画だ」とアナウンスした。

日産は今年、昨年7月にオンラインで発表したSUVタイプの新型EV「アリア」の発売を開始するが、そのほかにも2025年までに「e-Power」を搭載した6モデルとEV3モデルの計9モデルを中国市場に投入する。

また、日産のオールラウンドSUVの最新モデルである新型「エクストレイル」も発表した。この新型エクストレイルには、1.6リッターの可変圧縮エンジン「VCターボ」を搭載するという。

新型「エクストレイル」は日本市場へもこの姿で投入されると見られる(写真:日産自動車)

中国におけるNEVの販売台数は、2020年に10.9%増の136.7万台と過去最高を記録した。中国政府は、2025年に新車販売に占めるNEVの比率を20%に引き上げ、2035年にはEVを新車市場の主流とする目標を掲げている。

異業種のEV市場参入で既存メーカーはどうする?

こうした中で、電子機器の受託生産(EMS)世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業をはじめ、バイドゥ、シャオミ、スカイワースなど異業種からのEV参入が相次ぐ。今回の上海モーターショーでは、大手IT・通信企業が自動車分野に注力する姿勢を示した。

開発に特化し、生産の外部委託、オンライン・オフラインのダイレクト販売などを特徴とする異業種企業のEVビジネスは、既存メーカーとはまったく異なる。今後、分業が広がれば部品や車両の低価格化が進み、EV業界の競争軸はこれまでとはまったく別のものになるはずだ。

ICE車とEVが共存する市場構造が少なくとも2030年まで継続する中で、日系自動車メーカーはICE車市場でシェアを維持しながら、コストダウン、乗車体験、車両のスマート化など、消費者目線で他社EVと差別化する戦略を検討する必要があるだろう。(論考は個人的見解であり、筆者の所属とは無関係です)

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湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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