ミャンマー政策、問われる「積極的関与」の内実 邦人殺害後も国軍向け援助継続の日本政府

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事実上、事件を不問に付した日本政府はその後も日本財団とともにミャンマー国軍への援助を続け、責任者であるミンアウンフライン総司令官や他の将官を何度もアゴ足つきで日本に招き、首相以下の政権幹部が面会を重ねてきた。

日本人を殺害しても、不当に拘束しても日本政府は制裁を科すことなどなく、援助も続ける。要は国軍から足元をみられているのだ。

在日ミャンマー人は日本の対応を注視

私はこれまで、「日本の『ミャンマー宥和外交』は機能しているか」「ミャンマー虐殺、日本政府の対応に広がる失望」で、日本政府は国軍ではなく、ミャンマー国民の側に立つことをはっきりと示すべきだと書いてきた。それが日本の国益に資すると考えるからだ。

日本国内でもさまざまな団体や、在日ミャンマー人らが署名集めをするなど、日本政府により強い措置をとるよう働きかけている。ところが、政府はこれまでのところ、非難声明以上の「積極的関与」を見せてはいない。

しかし、態度をはっきりさせなければならない事態は否応なくやってくる。日本人の多くが長井さんの事件を忘れ、拘束された北角さんへの関心を薄れさせたとしても、ミャンマー人、中でも日本に住むミャンマーの人々が日本政府の対応に目を凝らしている。

まず、在日ミャンマー大使館の人事だ。国軍が今後申請してくる人物に外交査証を発給し、外交の在留資格を認めるのか。認めることになれば、国軍の正統性を認知することになる。

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