今回、メディア向けには「写真や動画は提供素材を使うように」との要請があった一方で、乗客はあらゆる写真、動画が撮り放題。中にはプロ級の機材を持ち込んで、出発前からさまざまな角度で「一生に一度」のイベントを撮り尽くそうとする猛者の姿も目についた。
お別れフライトに使われた機材は、同社が偶然にも保有していた「ボーイング社が最後に製造した旅客型」の747-400型機。あいにくの曇り空の中、定刻よりやや遅れてゲートを離れ、一路日本を目指して離陸した。
事前情報によると、「台北から成田や羽田を目指す航路で富士山付近を目指す」とのことだったが、実際にはそれよりも北寄りの、四国・紀伊半島上空を経て浜名湖方面へと向かう航路を取った。
「笠雲のかかる富士山」が
お別れフライトに搭乗した静岡県台北事務所の宮崎所長は、数日前から「フライト当日の天候は雨」と予報を恨めしそうに見ていたという。ところが幸いにも、「静岡県上空に差し掛かった頃から、雲が切れて陸地がチラチラと見えたんです」。安堵しつつ、「これなら富士山を乗客の皆さんに見ていただける」と改めて窓の外を見ると、「見えると縁起がよいとされる『笠雲がかかる富士山』が見えて驚いた」といい、運の強さを感じたという。
チャイナエアラインによる当初の説明では、「富士山上空を飛ぶ」といった案内もあったが、この日は結局、伊豆半島を東に抜けて伊豆大島の北方で左回りに旋回するルートを取った。「左右どちらに座るお客様にも、笠雲がかかる珍しい富士山を見ていただけただろう」(宮崎所長)。
空から静岡県を眺めるという機会を生かし、同事務所はお別れフライトの搭乗客に対し、静岡県の観光プロモーションを積極的に実施した。同県産品を受け取った乗客のひとりは「ツアーの初めから終わりまで、次から次と静岡県ゆかりのギフトをいただけた」と感激していた。
台湾でも人気の「ちびまる子ちゃん」の作者、故さくらももこさんが静岡市出身だったことにちなみ、当日の乗客向けの配布品としてキャラクターグッズを特別に輸入し配布したほか、乗客が機内で書いた絵はがきを静岡県から改めて各自に郵送するというサービスを実施。「ちびまる子ちゃんのハガキを出したら、後で送ってくれるとは。これは嬉しいサービス!」というコメントもあった。
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