「東京茨城」はマシ?遠すぎる都市名の空港・駅 LCC就航空港が離れた大都市名を付ける理由
東京都心から100km近く離れている茨城空港が、訪日客へのPR強化を目的に海外向け愛称を新たに決定するにあたり、”Tokyo”の文字を入れるかどうかが大きな話題となった。
有識者会議の答申案は「Tokyo Ibaraki International Airport」だったものの、「東京の近隣にあるとの誤解を招く」といった県民らの反対が相次ぎ、結局6月5日に”Tokyo”を外した「Ibaraki International Airport」に決定した。
だが、海外では大都市の名前を冠しながら、とても近隣とは言えないような離れた場所に空港や駅があるという事例が少なくない。実際にどんな事例があるか、そしてなぜそのような名称を付けているのかを探ってみた。
茨城空港、実は今も「東京」?
まず、「茨城空港」は海外から見るとどのような扱いになっているのだろうか?
同空港に乗り入れており、日本でもグループ会社が国内線を展開している中国の格安航空(LCC)春秋航空は、中国語の予約サイト上で出発地や目的地に「Tokyo」と入れると、成田・羽田だけでなく「茨城」も選択肢に表示されるようになっている。
春秋航空で日中間を行き来する中国人ビジネスマンに茨城空港の使い勝手について尋ねたところ、「東京駅からバスで90分ほどで行けるんだから、東京を名乗ってもいいのでは?」との答えが返ってきた。2019年度までは茨城県の補助金により、空港と東京駅を結ぶ直行バスが片道500円で利用できたが、補助金の打ち切りによって今後は通常料金(1530円)となる。「東京」の空港として利用するにはちょっと残念だ。(注:茨城空港―東京駅間の路線は運休中)
だが、LCCの運航数が多い欧州の主要都市では、LCC便の発着空港が不便な場所にあるケースが珍しくない。大都市の主要空港は「スロット」と呼ばれる離発着枠が許容量いっぱいで、どこも着陸料が高め。一方、大都市から離れた空港は着陸料が安いため、運航経費の圧縮を図りたいLCCは「不便な空港」を使うことで、より低コストで運航しようとするのだ。
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