「東京茨城」はマシ?遠すぎる都市名の空港・駅 LCC就航空港が離れた大都市名を付ける理由
この手の「詐称」に近いともいえそうな「大都市名を冠する交通ターミナル」の話題は、これまで欧州のメディアでも何度か取り上げられている。大都市から遠く離れているのに、このような名前をつけているのはなぜだろうか?
こうしたネーミングは、オンライン旅行代理店(OTA)のサイトで格安チケットを探す各国の旅行者に対し、空港の存在を訴えるのに役立っているのだ。
例えば、パリへ行きたい旅行者が「どの空港に着いても良いから、とにかく安く」と検索したい場合、主要空港の「シャルル・ド・ゴール空港」ではなく「パリ(すべての空港)」を選ぶと、より安いチケットを引き出せる可能性が高まる。
実際に主要OTAの「エクスペディア」で「パリ(すべての空港)」を選択すると、前述のパリ・ヴァトリー空港もしっかり検索に含まれている。有名な大都市名を冠することで、利便性や知名度に劣る空港であっても、利用者の選択肢に入ってくるのだ。
欧州のこうした「都市から遠く離れた空港」では、発着便にスケジュールを合わせた連絡バスが運行されているところがほとんどだ。大都市名を名乗っておきながら、その都市への交通アクセスがないのでは、利用客に対して無責任だ。だが、欧州のLCC就航空港の例を見ると、安く行きたい人々は空港と都市間のアクセス手段さえあれば、空港が遠距離でもいとわないともいえる。
茨城空港は存在感を示せるか
では、茨城空港はどうだろう。前述の通り春秋航空の中国語サイトでは、目的地や出発地に「Tokyo」を入れると、茨城も候補として表示される。
だが、航空券検索サイトとして世界的に利用者が多い「スカイスキャナー」では「東京(すべての空港)」を選ぶと、羽田と成田しか選択肢がない。茨城空港がもし「Tokyo」の文字を空港名に織り込んだ名を採用していれば、東京行きチケットの選択肢として茨城空港を入れ込む海外OTAが増えたかもしれない。茨城空港の誘客を考えると、この点は残念なところだろう。
茨城県によると、今回の海外向け愛称をめぐり、離れた大都市名を付けた空港が海外に存在することは意識していたという。これまでの営業活動では「イバラキエアポートといっても場所を理解されず、話を聞いてもらえないケースもあった」といい、愛称には入らなかったものの、海外向けの営業活動では「東京に比較的近い」ことを説明していきたいという。
同県の大井川和彦知事は「空港への航空会社の誘致等の営業の場面では、さまざまな手立てを考えていくということで十分補える」と述べている。今回の海外向け愛称決定は、今後の国際的なマーケティングにどのような影響を及ぼすだろうか。
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