「東京茨城」はマシ?遠すぎる都市名の空港・駅 LCC就航空港が離れた大都市名を付ける理由
主要都市名を名乗りながらも、都市から離れたLCC発着空港のロケーションとして、欧州では下記のような例がある(コロナ禍による航空需要の減少で、アクセス交通の運休など影響が出ている場合もある)。
イギリス:ロンドン・スタンステッド空港(都心から約64km、電車で約50分)
フランス:パリ・ボーヴェ空港(都心から約85km、バスで約75分)
スペイン:バルセロナ・ジローナ空港(都心から約80km、バスで約75分)
ノルウェー:オスロ・トルプ空港(都心から110km、バスで約120分)
ドイツ:フランクフルト・ハーン空港(都心から120km、バスで約105分)
フランス:パリ・ヴァトリー空港(都心から約170km)
このうち、ロンドン・スタンステッド空港は欧州最大のLCCであるライアンエアーがハブ(運航拠点)としているため、ロンドン中心部へのバスと電車が頻繁に走っており、距離の割に移動はスムーズだ。
一方、欧州LCC初心者がロケーションを知らずにチケットを買ってしまい、困惑する可能性が高いのがフランクフルト・ハーン空港だ。ライアンエアーなどが乗り入れる同空港は「フランクフルト」を名乗るには無謀ともいえる場所に位置し、同市中心部までの距離は何と約120km。フランクフルト中央駅までのバスは約2時間かかる。
大都市の名前を冠していながら極端に遠いところにある空港の筆頭格としては、パリ・ヴァトリー空港を挙げたい。同空港はパリの都心から約170km離れており、空港の公式サイトによると所要時間は車で約1時間半、鉄道の場合は約25km離れた最寄り駅から、高速鉄道TGVでパリまで約45分。利便性が高いとは到底言いがたい。
高速鉄道の駅にも似た例が
空港ほどではないが、鉄道駅についても同様のケースは存在する。日本国内なら、北海道新幹線の新函館北斗駅がその例として挙げられるだろう。函館駅から約17km離れており、アクセス列車で15~22分かかる。
海外でも高速鉄道を建設する際、より直線的に路線を設定するために、途中駅が市街地と大きく離れたところに設けられることがある。
欧州で有名な高速鉄道といえばフランスのTGVだろう。TGV用の高速新線には、駅名になっている都市の市街地中心部から大きく離れた駅が存在する。リヨンのサン=テグジュペリTGV駅(市街地中心から約27km、空港に併設)、南部プロヴァンス地方のエクス=アン=プロヴァンスTGV駅(中心部から約15km)などだ。
最近は鉄道版LCCといえる低料金のTGV「ouigo(ウィゴー)」がフランス各地を走っているが、LCCと同様に運行コストを削減するため、市街地から離れた利用者の比較的少ない駅を結んで走らせる傾向が見られる。
中国も、高速列車の発着のために近年造られたターミナルは軒並み市内中心部から離れている。北京南駅は北京駅から約12km、上海南駅は上海駅から約16km(いずれも道路での距離)離れているほか、広州南駅に至っては広州駅から25kmもある。いずれも地下鉄によるアクセスはあるものの、とくに広州南駅はもはや「隣街に駅がある」くらいの距離がある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら