中国の民営物流最大手、順豊控股(SFホールディング)は4月26日に、総額5億元(約83億円)のカーボンニュートラル債(訳注:カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量が差し引きゼロになる状態を意味する)の発行を完了したことを明らかにした。略称は「21順豊G1」で、償還期限3年、表面利率は3.79%だ。中国でカーボンニュートラル債の発行が始まって以降、民営企業が発行者となったのはこれが初めてだ。
債券の募集資料によると、今回調達した資金は、70%以上は「グリーンビルディング」(環境配慮型不動産)である順豊の本社ビル建設費用の借入金返済に充て、残った分は同社の流動資金に充てるとしている。
カーボンニュートラル債は、「グリーンプロジェクト(環境問題の解決に貢献する事業)」に要する資金を調達するために発行される債券である「グリーンボンド」の一種であり、資金の用途は、CO2(二酸化炭素)排出削減効果のあるグリーンプロジェクトのみに限られる。さらにCO2削減などの環境効果情報を公表し、その削減効果が「計算可能」、「調査可能」で「検証可能」であることが求められる。
2カ月前の2021年2月には中国南方電網、中国長江三峡集団、華能国際電力、国家電力投資集団、雅礱江流域水電開発の電力大手5社と空港運営会社の四川省機場集団の合計6社が中国初のカーボンニュートラル債を発行、調達金額は総額64億元(約1045億円)に達した。(詳細は、中国初の「カーボンニュートラル債」がデビュー、を参照)
本社ビルなど環境配慮もさまざま推進
その後、カーボンニュートラル債の発行数は増え続け、4月15日時点で、のべ36本のカーボンニュートラル債が発行され、総発行規模は775億4000万元(約1兆2895億円)に達した。発行者はすべて中央と地方の国有企業だ。
順豊控股は環境配慮の面で多くの措置を講じている。同社の公開資料によれば、本社ビルプロジェクトは、中国政府によるグリーンビルディング認証と国際的な環境性能認証制度であるLEEDを獲得済みだという。同プロジェクトは、エネルギー消費の項目別測定、高効率の冷水装置、高効率省エネ構造および照明システムなど、多種の低炭素で環境に優しくスマート化されたグリーンビルディング技術を採用し、通常の建物に比べて51.24%のエネルギー消費を節約できるという。
このほか、2020年に同社が(配送車両などとして)導入した新エネルギー車は1万7100台に上り、前年比で1.5倍となった。(訳注:新エネルギー自動車は中国独自の定義で、電気自動車〈EV〉、燃料電池車〈FCV〉、プラグインハイブリッド車〈PHV〉の3種類を指す。通常のハイブリッド車〈HV〉は含まれない)
また同社は包装の技術的改善に取り組み、紙原料を2019年比で約2万6000トン、プラスチックは同約8000トンを削減し、CO2換算で合計7万トンの削減効果を得られたとしている。
(財新記者:黄栄)
※原文の配信は4月27日
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