「異動が多くてツライ」嘆く人に欠けている視点 「プラスアルファの経験」にいかに変えられるか

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ジョブローテーションがいいか悪いかはここではさておき、実施の背景には、複数の業務を経験することで複合的な視点を養ってもらいたいということや、多様な業務を経験することで自分の仕事に対する向き不向きを発見し、今後のキャリア形成の役に立ててもらいたい、ということがあるのでしょう。

前述のとおり、プラスアルファの経験をしてもらいたい、ということだと思います。

そのようなジョブローテーションを通じて、キャリアの発展につなげられる人もいれば、キャリア形成につながらず悶々としてしまう人がいることも事実です。

おそらくその違いは、ジョブローテーションの中で一貫した視点を持ち、経験を自分自身の価値を磨く契機としてきたのか、それとも与えられた仕事として受け身的に、まったく新しい、今までとは異なる業務として淡々とこなしてきたかの違いでしょう。

要は主体的にいろいろな業務を通じて、自分はどんなことに強みがあり、どんな分野を伸ばすべきなのかなどを考えて創意工夫して仕事に取り組んできたか否かの違いです。

それまでの経験で自分が得たスキルや経験を次の仕事にうまくつなげることができるのか、それともまったく違う業務だからとして、それまでの経験を白紙に戻してしまうか、です。

前者であればこれまでの経験を踏まえてプラスアルファの経験をしていることになりますし、後者ではゼロスタートとなり、異動のたびに経験ゼロ、となってしまうのです。

経理事務から営業に配属されたとして…

例えば、民間企業においてそれまでやっていた経理事務から営業に配属されたとして、まったく新しい仕事だからと今までの経験を活用するという視点を持たず、周りと同じことをすることで安心しているのか、それともそれまでの経理事務経験を活かしたうえで担当企業の経営数値分析を含めた提案営業まで踏み込むようなことに取り組み、自分なりの付加価値を出す努力ができるか、の違いなんかです。

仕事もそうですし、キャリア発展もそうですが、「与えられるもの」という前提を持ってしまうとやはり大きな成長は見込めません。

主体性をもって創意工夫をしつつ、自分事としていかに成長をしていくか、という視点が必要です。

「学べない」ではなく、その中から「いかにして学ぶか」、のスタンスです。

受け身のスタンスになってしまっていては、仮に運よく転職できたとしても、プラスアルファの経験として自分の中で昇華できないがゆえにまた数年もすれば同じような悩みをもってしまうことでしょう。

であるがゆえに、主体的なスタンス、自分でキャリアを切り開く、という姿勢が大切なのです。

そのためにも、一度落ち着いてご自身がやられてきた業務とそこで培った経験やスキルの棚卸しをし、どの部分を「テコ」として活用し、今の仕事や今後の仕事を自分の中でプラスアルファの経験とし、相乗効果としていけるか、まずはそれを考えてみてください。

Kさんがこれを契機に複数の経験を単体ではなくミックスし、プラスアルファの経験とし、今後のキャリア形成につなげていくであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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