「日経平均は下落」と決めつける人が見逃す真実 「悪材料満載」でも相場はさほど下がっていない
アメリカの一連の「バイデン政策」の「いいとこ取り」で来た株式市場は、直近は富裕層への増税、とくにキャピタルゲイン税の増税で「バイデンリスク」も認識された。だが「増税はいつか来るものだが、今ではない」と落ち着きをみせている。
また、今や変異株が主体となった新型コロナウイルスの脅威は世界経済に不安を与えている。だが、20%を超えていた日経平均の200日移動平均線からの乖離率も、今や半分の約10%になった。
不透明感を増した部分もあるが、大筋で相場シナリオが変わったわけではない。懸念されている「米中対立」も、戦いを有利に進めるためには自らの国内経済を強くしなければ勝てないことは両国とも先刻承知だ。皮肉なことに、2大経済大国の対立は世界経済を拡大させる両輪になっている、といえないだろうか。
決算の不透明感をどう考えるか
日本では、投資家の目先の行動をフリーズさせているのが決算発表だ。
すでに安川電機(2月期決算)に続き、3月期決算会社では日本電産、信越化学工業、東京エレクトロン、ソニーなど前半の主要プレイヤーが終了した。
だが決算発表会社数から考えると、まだ2600社以上も控えているのが現状だ。auカブコム証券のまとめによると、4月28日までに発表された226社のうち、今期見通しを明らかにした会社数は199。コロナ禍の影響などを考えて今期見通しを出していない企業は27社あり、ざっくり1割といったところだ。
「昨年はコロナショック直後の混乱で、3分の2の企業が最初の決算で見通しを出さなかった」(同社のチーフストラテジスト河合達憲氏)のと比較すれば、今年は多くの企業が期初から見通しを出すようになった。それでもコロナ禍の影響などが残り、会社側が「今期の第1回目」として出す見通しの数字は保守的になっていると思っている。
現在のところ、前出の199社のうち、増益予想は136社、減益予想は63社だ。「河合説」では、この傾向は残りの約2600社の決算でも続くとしている。
もしそれが正しければ、約2600社のうち、大まかにいって、見通しを出さない企業が260社前後、増益は1600社前後、減益730社前後ということになるだろうか。ある程度はわかるが、これでは投資家は先走って動けない。
しかし、日経平均を1つの会社に見立てた今季予想EPS(1株当たり利益)は先週末で1411円(株価収益率では20.42倍)と、2月25日の1346.8円をジワリ抜いてきた。絶対水準が低いという人もいるが、これは明らかな改善であり、予想が保守的なことを考えれば実質的なEPSは一段上の水準にあるはずだ。
最後にもう一度繰り返すが、コロナショックから約1.8倍になってもほとんど下げていない相場は「大きな未来を持った相場」といえる。ここは焦らず、時が来るのを待ちたい。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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