日本の地位低下を映した「円安」が進む懸念 <為替相場と世界経済>篠原尚之・元財務官に聞く

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――先日の「アルケゴス騒動」はどう受け止めますか。

基本的には(投資銀行の)リスク管理の問題だろう。今後、細かい規制強化はあるかもしれないが、大きなうねりになるような制度論までにはいかないのではないか。

投資銀行の損失はかなり巨額になったが、リーマンショック後に規制が強化され、金融システムとしてはショックに耐えられる強靭性はある。ただ、あまりにお粗末なリスク管理との印象が強く、個別の金融機関に対する批判は高まるだろう。ヘッジファンドなどノンバンクに対する規制強化の議論も以前からあるが、なかなか難しいのが現実だ。

途上国の財政難や新興国の資金流出に懸念

――今回のコロナ危機では新興国や途上国も深刻な打撃を受けていますが、IMFでの経験も踏まえてどう見ていますか。

リーマンショック時と違い、コロナ危機においては途上国への影響が格段に大きい。しかも状況は全般にますます悪くなる懸念が強い。

アフリカ諸国など新興国ではない本当の途上国は、ワクチンの調達などコロナ禍に対応する力が財政的に乏しい。外国から借りるにしても昔からの債務負担が重い。経済の成長率も落ち込んでいる。今後、こうした途上国に対する先進国からの支援が大きな課題となる。

新興国については、今のところ新興国への資金の流れが大きく揺れているという感じはしない。だが、ブラジルやインドをはじめ、コロナ禍の状況は深刻だ。また、外国からのマーケットベースでの借り入れに頼っているだけに、FRBの利上げやドル高の影響には注意を要する。以前と比べて新興国の経済規模は大きくなっており、混乱が深まれば、世界の経済や金融市場にも多大なショックを与えかねない。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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