日本の地位低下を映した「円安」が進む懸念 <為替相場と世界経済>篠原尚之・元財務官に聞く

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縮小

――一方でアメリカ経済の相対的な強さが目立ちます。

今年の実質GDP成長率は6%を超えると見られ、非常に強い。ただ前年からの反動もある。失業率はかなり改善したが、労働参加率はまだ低いままであり、労働市場がフルに回復するには時間がかかりそうだ。インフレ率も原油価格が反発した影響などで一時的に2%を超えても、持続性には疑問がある。FRBが今年年内にテーパリング(量的緩和の規模縮小)を開始することはないのではないか。

――バイデン政権はインフラ投資など新たな大型経済対策と法人税などの増税を計画しています。

財源の増税案を含めて思い切った策であり、たいしたものだと思う。民主党左派の影響もあって、所得格差の縮小をとくに重視している。もっとも、共和党が丸呑みするはずはなく、議会審議で最終的にどのような形になるかはわからない。それ次第で来年以降の景気はかなり違ってくる。

インフレ、格差、米中対立にリスク

――アメリカ経済の最大のリスクは何でしょうか。

変異株の動向などコロナ禍の不確実性は別として、1つはサマーズ氏(元財務長官)が言っているような財政刺激による景気過熱のリスクだ。FRBの対応が後手を踏んでインフレ率が予想外に上昇すれば、金融市場が混乱し、ドル安要因ともなりかねない。

それから貧富の差。社会的な不安定感はこれからもつねにつきまとうだろう。もう1つは米中対立。台湾をめぐって偶発的な軍事衝突が起きたとしても不思議はない状況だ。

――今のアメリカの株式市場は「バブル」といえるでしょうか。

バブルの定義ははっきりしないが、かなり高い水準にあることは間違いないだろう。とくにIT関連の株は高すぎるという印象が強い。テスラの株価などは、稼ぐ力から計算すれば信じられないような水準だ。こうした高すぎる株価については、いずれ修正があっても不思議はない。

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