変異株で感染者急増のインドはまるで戦争状態 酸素不足で多くの患者が生命の危険に晒される
こうした光景から、絶望感が漂うインド全国の状況を垣間見ることができる。インドの1日当たりの新規感染者数は世界最多となっており、同国で広がる新しい変異株は、ワクチン接種でコロナ禍を終息に向かわせようとしている先進諸国の取り組みを損なう恐れがある。27日の新規感染者は36万人を超え、累計では1800万人を突破。米国に次いで世界で2番目に多い。
人口1600万人強のデリーで28日午前時点の集中治療室(ICU)の空床数はわずか13床。ソーシャルメディアには病床や酸素、コロナ治療に使われるレムデシビルなどを求める投稿が途絶えない状況だ。
モディ首相のコロナ対策に強まる批判
首都ニューデリーと金融中心地ムンバイでロックダウン(都市封鎖)が行われる中、モディ首相のコロナ危機対応に対する批判は強まっている。
デリー高裁は先週、政府の怠慢に対する「衝撃と失望」を表明。病院が十分な量の酸素を確保できるよう、あらゆる手段を講じるようモディ政権に命じた。
モディ首相は今週、バイデン米大統領と電話会談し、バイデン氏はワクチンなどをインドに提供することに同意した。
デリー首都圏のケジリワル首相は「現在の感染の波は特に危険だ。感染力が非常に強く、前回の波の時に比べ、感染者は回復に時間がかかっている」と指摘。「全ての病院が収容能力を超えた状態だ。ICUのベッドを含め、病床は埋まっている」と述べた。
ムールチャンド病院の看護師チームのマネジャー、サンジョグ氏は、毎日が人々を生かし続けるための闘いだと説明。「この状況でわれわれは闘わなければならない。まるで戦争状態だ」と語った。
原題:‘It’s Like a War’: Inside an India Hospital Desperate for Oxygen(抜粋)
著者:Ruth Pollard、Sudhi Ranjan Sen
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