ベンツ「Cクラス」刷新の破壊力 もはや高級車は排気量では語れない
さらに注目すべきは内燃機関だ。安全技術とともに、ベンツが強調したのは走行性能。これと環境性能を器用に両立した取り組みがなされている。廉価モデルの「C180」の場合、現行では1.8ℓの直列4気筒ターボエンジンを搭載していたが、新型車では1.6ℓに排気量を減らしたエンジンを新たに開発した。とはいえ馬力やトルクなどの走行性能は変わらない。燃費は約2割改善し、17.3km/ℓとなっている。
一方、上位モデルの「C200」では、現行の1.8ℓから、2.0ℓに排気量を増やしたエンジンを採用。これは「トルクを上げ、発進や停止が多い街乗りでも、力強く走らせるため」(商品担当者)。ただ馬力は従来の水準に抑え、新たな燃料の燃焼方法を採用したことにより、こちらも燃費を2割強改善し、16.5km/ℓとなった。両モデルは100%のエコカー減税対象となっている。
大排気量礼賛は崩れた
ドイツなど欧州の自動車メーカーはかねてから、小排気量のエンジンのパワーを過給器(ターボチャージャー)で補う動力機構を採用し、厳しさが増す環境規制に対応しつつ走行性能を維持する取り組みを続けている。一方、トヨタ自動車の「クラウン」やレクサス「IS」といった国産高級車では、いまだに3.5ℓなどの排気量の大きいエンジンが用意されている。しかしこれらのモデルの売れ筋はハイブリッド車。大排気量=パワーがあっていい、といった概念は崩れたといえる。
「高級車=大排気量という構図はもはやない。大排気量車がなくなっていくことを惜しむ声を時々聞くが、エンジンの小型化を嫌う人は減っている。今回開発したエンジンは内燃機関にまだまだポテンシャルがある証明。進化は止まらない」。そう興奮気味に話す上野社長は「(他社の競合車にとって)けっこう強敵になる1台だと思っている」とも付け加える。
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