「ダイバーシティ」の目的は多様性を企業の成長に結びつけること--第3回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション

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 1995年に8つのダイバーシティのイニシアチブをアメリカで始めて、日本ではまず、「女性」と「障害者」の2つに取り組みました。ダイバーシティを推進する目的は、どんな層からも優秀な人材を採用して、その人たちのモチベーションを高めて、その優秀な人に残って活躍してもらうためです。

人事施策は、「タレント(人材)」「パフォーマンス」「クライメート(企業文化)」「リーダーシップ」の4つを柱としています。

「ダイバーシティ」という言葉は、本当は「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」で1つの言葉です。IBMでは「クライメート(企業文化)」の中で、働き方や時間にとらわれないワークスタイルの変革などを通じて、マイノリティの人たちの時間や働く場所の制約を受け入れていくことに取り組んでいます。

ダイバーシティの推進においては、多様な人材を登用するだけではなく、むしろ「インクルージョン(受容)」をどうするかが非常に大切だと思っています。

管理者層の多様化は、グローバルで共通の経営課題と考えています。経営陣は市場を映す鏡でなければなりません。当社では、アメリカ人だけが占めるのではなく、多様な人種、性別、GLBT(ゲイ、レズビアン等のセクシャル・マイノリティ)をカミングアウトしているエグゼクティブも入っています。

日本では、1998年に女性の取り組みを始めて、99年に障害者を、GLBTも2004年から始めていましたが、日本IBM社内にもあまり公表していませんでした。ですが、カウンセルのメンバーから、「日本ではGLBTに対して特別なことをしてくれる必要はないが、日本IBMがGLBTに対してオープンな会社だと宣言してほしい」という声があり、2008年に社長直轄のダイバーシティ委員会を再編成する際に、社内外に公表しました。

外国籍社員の活躍支援への取り組みを開始

2008年には、ワークライフとマルチカルチャー(外国籍社員の活躍支援)への取り組みを始めました。マルチカルチャーは日本独自の取り組みです。IBMはグローバルで人材の交流があるのですが、日本市場が力を失っていく中で、かつて日本に集まっていた海外の優秀な人材が中国やインドに向かうようになってきました。

もっと海外の人材が日本IBMという職場に魅力を感じてもらうようにするには、現在、日本IBMで働いている外国籍の社員たちにとって働きやすい職場かどうかを検討する必要があります。

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