ベンツの電動小型SUVはEV市場を牽引できるか 満を持して登場した「EQA」のポテンシャル

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ほかにも、車両の前後1m以内に障害物がある場合に、アクセルを強く踏んでも時速2キロ以上の速度が出なくなる「ドライブアウェイアシスト」や、車両周辺の状況が直観的に把握できる「360°カメラシステム」を装備する。「ドライブアウェイアシスト」は、日本メーカーでいう「誤発進抑制装置」だ。

「従来と同じような生活スタイルのままでEVに乗れる環境を目指した」というだけあって、EQAはEVでありながらも先進性だけでなく、これまでのメルセデスの特長である安全性、操縦安定性、快適性、利便性、品質などを継承したモデルであるといえる。

日本でのEQシリーズ定着の布石になるか

メルセデスはグローバルにおいて「Ambition2039計画」を発表しており、持続可能な社会の実現を目指すための重要な柱として、電動化に取り組んでいる。

具体的なロードマップとしては、2022年には全セグメントで電動化モデルを導入。「早ければ全世界の工場でCO2ニュートラルが実現するかもしれない」と、メルセデス・ベンツ日本の代表取締役社長兼CEOである上野金太郎氏は言及する。

「EQA]の発表会にてメルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏(写真:メルセデス・ベンツ日本)

さらに、全世界で2025年までに販売する乗用車の25%を電気自動車とすること、2030年までに50%以上をプラグインハイブリッド(PHEV)と電気自動車にすること、そして2039年には自動車単体での新車のCO2ニュートラルの実現を目指す方針を明らかにしている。2021年4月にグローバルで「EQS」「EQB」を発表したのはその一環で、カーボンニュートラルへの確固たる意志を示すものだ。

日本で好調なコンパクトSUVセグメントにEQAを投入したことは、Ambition2039計画の日本での大きな一歩となる。

EQシリーズのエントリーモデルでもあるEQAが、メルセデスが目指す通り、EVを意識することなく従来のクルマと同様の生活スタイルを描いてくれるのか。EQシリーズの日本での成功は、その一点にかかっていると言っても過言ではないだろう。なお、日本でのEQSおよびEQBの発表は、来年以降が予定されている。

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先川 知香 モータージャーナリスト

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さきかわ ちか / Chika Sakikawa

初めて見たバイクレースでマシンをバンクさせながら膝を擦って進入していくコーナリングを自分もやってみたいと思ったのをきっかけに、マシンを操ることの面白さを知り、その面白さを多くの人に伝えるべくモータージャーナリストを志す。現在の対象は2輪から4輪までと幅広く、Web や紙媒体で執筆中。愛車は Kawasaki Z250 とGASGAS、TOYOTA86 MT 仕様。休日は愛車でのサーキット走行やトライアルにも挑戦中で、公私共に乗り物漬けの日々を送る。

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